【イナGO】魔法少年少女の戦い (ページ25)

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失われた記憶ページ25

～神童side～

翌日の日曜日。今日は部活は休みだが、星宮Aと会う約束があった。

自分の願い事を忘れてしまった少女。俺たち以外にもいたなんて。

駅へ向かいながら、俺は数ヶ月前のことを思い出す。

キュゥべえ曰く、俺と浜野は他の魔法少女や魔法少年と比べてかなり素質があるらしい。

実際、他の地域より強いと言われる稲妻町の魔人を倒すのだってそれほど苦じゃなかった。

そのうち浜野と組んで魔人退治をするようになった俺は、自然と彼と行動する頻度も増えた。

そんなある日。

一緒に屋上で弁当を食べていると、不意に浜野がキュゥべえに言った。

浜野『な～キュゥべえ。俺が魔法少年になる時にかなえてもらったはずのお願いのことなんだけど……』

それを聞いた瞬間、俺はつい箸の手を止めた。

俺も気づいたら魔法少年になっていて、自分が何を願ってキュゥべえと契約したのか覚えていなかったからだ。

キュゥべえ『そのことか。

前も言った通り、僕にもよくわからないんだ』

神童『わからないだと？』

魔法少年に関する質問ならば必ず答えてくれるはずのキュゥべえが放った“わからない”という言葉に、俺は目を丸くする。

キュゥべえ『普通は忘れたりしないんだけど。

君と拓人に関しては、願い事の具体的内容や人物名に関して不明な部分があまりに多い』

浜野『え？神童もそうだったんだ』

キュゥべえ『むしろ、この町じゃ君たち2人だけだよ。こんなことは前例がない。

これは僕の憶測に過ぎないけれど、君たちの願いの一部に“願い自体を秘匿したい”という内容も含まれていたのかもしれないね』

浜野『誰の記憶にも残らないようにかなえてほしいって願ったっちゅーこと？自分も含めて？

うーん、そんなことするかなぁ～』

メロンパンを齧りながら、浜野は困惑した表情で空を見上げた。

雲ひとつない快晴だが、それとは反対に浜野の気持ちは曇ってしまっているようだ。

無理もない。俺だって正直、自分の願い事を思い出せなくてモヤモヤしたものを抱えている。

キュゥべえ『君たちは知りたいのかい？自分の願いの姿を』

浜野『そりゃそーよ。自分の人生を懸けた願いなのに、それが自分でも思い出せないなんて……

うーん。なんで覚えてないんだろ』

俺も浜野と同じ気持ちだった。だから彼に言った。

神童『なあ浜野。お前さえよければ＿＿＿』

一緒に失われた記憶を取り戻そう、と。