明日、また ページ23
〜貴方side〜
貴方「だから！ 私、まだ稲妻町でやることが……」
浜野「A」
浜野くんが私を呼んで、訴えを遮る。
浜野「あのさ、そろそろ霧野が目を覚ましちゃうんだよね。
俺たちは、霧野に魔法少年や魔人のことを知られるわけにはいかない。だから今回はもう解散」
どうやら2人は、魔法少年でない霧野くんを巻き込みたくないと考えているようだった。
その気持ちは私もわかる。けど……
貴方「お、お願いします！ 自分の願い事を覚えているか答えてくれるだけでいいの！ イエスかノーだけでいいから！」
有無を言わさず帰れと迫られているようで、私の中で焦りが募った。
せっかく稲妻町へ来たのにすべて無駄足になるのは嫌だ。
確かに2人は命の恩人だけど、こればかりは譲りたくない。
すると、浜野くんは言った。
浜野「じゃあそれだけ答えるね。
＿＿＿＿『ノー』だ。俺も神童も」
貴方「ッ！？」
え………ノーって、つまり、願い事を覚えてない……？
神童くんも、浜野くんも！？
貴方「それって、じゃあ2人は」
浜野「明日、午後2時ぴったりに駅前集合」
貴方「！！」
身動ぎして今にも目を覚ましそうな霧野くんを横目に、浜野くんはそれだけを口にした。
浜野「話の続きはそこでしよう。神童もそれでいい？」
神童「……お前がそう言うなら」
神童くんは明らかに乗り気ではなさそうだったが、とりあえずといった感じで頷いた。
浜野「Aもそれでいいよな？ 明日日曜だし休みっしょ？」
貴方「う、うん」
浜野「よし、決まり！」
だから今日は帰りなよ。そう言い残して浜野くんはくるりと背を向ける。
今度こそ振り返ることなく、2人はどこかへ去って行った。
残された私は、黙ってその後ろ姿を見送った。
やっと出会えた……目的の、魔法少年に。
きっと思い出してみせる。自分の願いの姿を。
そう決意して、私は拳を握りしめた。
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作者名：サリア | 作成日時：2020年2月6日 21時
