【イナGO】魔法少年少女の戦い (ページ16)

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魔人の出現ページ16

～霧野side～

逃げている最中、不意に地面が大きく揺れた。

俺はバランスを崩し、その場に転んでしまう。そうしている間にも地面は揺れ続けている。まるで大きな地震が起こっているみたいだ。

上手く立ち上がることができず、それでも何事かと辺りを見回す。すると、石畳の向こうから巨大な“なにか”が姿を現した。

それは、御伽噺に出てくる派手なドレスを身に纏った淑女のような姿をした……化け物、だった。

だってそうだろう？目はあの小人のようにひとつしかないし、肌は黒いクレヨンを塗りつぶしたような色。

その巨大なひとつ目から絶え間なく零れ落ちる涙もクレヨンで描いたようなしずく型で、まるで泣きはらす滑稽な道化がドレスを着込んでいるかのよう。

その化け物が出てきた瞬間、それまで並び立ってるだけだった建物や街灯が生き物のように動き、うねり始めた。

おぞましい光景に、俺はもはやなす術もない。

魔人「○＊÷=%%°#☆々＊$！！！」

化け物が何かを叫ぶ。悲鳴のようにも聞こえるが、とても耳障りで頭が痛くなりそうな声だ。

その声を聞いた途端、押し寄せる恐怖にどう抵抗すればいいのかわからなくなり、頭を抱える。意識が遠のく。

霧野「ダメだ……Aがまだ……どこかにいる、のに……」

きっとどこかで、同じように怖い目に遭わされている。そう思うといてもたってもいられないのに、身体が言うことをきかない。

小人たちが背後に迫る。それなのにもう、足が動かない。視界が霞んでいく。

霧野「A……」

ああ、どうかこれが夢でありますように。

そう思って、俺は意識を手放した。

？？「霧野くん！」

意識がぷっつりと途切れる寸前、Aが俺の名前を呼んだ気がした。