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33 みえないつながり ページ34

どうしたらこの気持ち、晴らす事が出来るであろうか。
何故この人を見ると、こんなに苦しいのだろうか。


 解らない、
 判らない、


「それでどうかな。

 また有事の際の為に、
 Aちゃんが良ければ、連絡先を、交換しない?

 Aちゃんが、良ければ」


「…………」


 は?


 ……え?
 え!


「…………」


 再度思考する。
 谷崎潤一郎に連絡先を教える理由。


「…………」

「…………」


 互いに黙る。
 

 えっと、
 えっと。


「……………」


 無いといえば無いし、
 有るといえば有る。


「………」


 仕方なく、
 仕方なく。
 仕方なく!


「あ」


 布団の中から出て来た小さな手に、
 端末の画面。


 数字の羅列。


「で、電話番号?!」


【あと十秒で消す。】


「あ、あァ一寸待ッて?!」


 操作の音。


 別に理由なんて、ない。


 有事の際の為、なんだから。


「へへ、ありがとう」


 何をそんな嬉しそうな声、出してるの。
 それにしても熱いんだから、早く布団から出たいんだから、
 早く……部屋から出てってよ。


「あの、これ……帽子。前に忘れていッたの、置いておくね」


 どうやらベッド隣のシェルフに、私の帽子を置いたらしい。
 態々ご苦労様である。


「……………」

「………」

「あの、最後に……Aちゃんの顔、見てッて…いい…?」

「…………」


 な。


 ななな、なんで?
 だめに、きまって、


「………………」

「…………」


 でも。
 彼は動きそうにないし。
 私は声で威嚇も出来ない。


「…………」


 久し振りに、
 声が無いのを不便に感じて。


「……………」


 ムクリと起き上がったその時、シーツに滑って、手から端末が飛んで。


「あッ」


 その端末を追いかけて、Aが手を伸ばすとバランスが崩れ、ベッドから、落ちる。


 谷崎潤一郎が、吃驚顔で駆け寄り、腕を伸ばした。


 丁度その時。


 ノック音と、


「Aちゃんいるー?」


 扉の奥から太宰治の声。


 谷崎潤一郎の腕の中に落ちるのが判っていたが為、
 その状況を見られたくないが為だけに。


「えッ?!」


 その、一瞬で。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 谷崎潤一郎 , 江戸川乱歩   
作品ジャンル:アニメ
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neko - 江戸川乱歩様、貴方には異能力が全く御座いません。サッパリです。 (2020年10月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - マカロニさん» マカロニ様、ご指摘ありがとうございます。早速プロローグにさせて頂きました。この様に切ない技量ですが、更新頑張りますので宜しくお願い致します! (2019年12月30日 11時) (レス) id: 51ec71086f (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - コメント失礼します。第一話のエピローグはプロローグの間違いではないでしょうか?(エピローグは終わりの時なので……)初コメントがこのような形ですみません。更新頑張って下さい。 (2019年12月30日 8時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年12月22日 22時

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