探偵社に愛される少女は谷崎潤一郎が大嫌い【文スト】

23　宣戦 ページ24

ブティックにアクセサリーショップ、靴屋やネイルサロン等の店を巡りに巡り、


先回りをした、その先は。


とある何処かの工場みたい。
その大きめの天井窓からAは覗く。


　人々が、大勢いた。


　ポートマフィアの、構成員達。


　五大幹部が一人、中原中也。
　当時二人で双黒と呼ばれた、太宰治の元相棒。


　科学班の梶井基次郎。
　指名手配されている爆弾魔。与謝野女医いないと元気だな。


　それに黒蜥蜴もいる――早々たる面子。


　でも、芥川龍之介と、
　樋口一葉はいないみたい。

　未だ入院中なのかな。


　ん？
　尾崎さんも？


　艶やかな彼女は闇に潜むポートマフィアの中でも、目に付きやすい。
　だからその場に居ない事を、直ぐに確認出来た。


　ポートマフィアも、時たまこうやって視に来るけど、鏡の世界にいても、本当に空気が張り詰めてる。


　って。


「………！」


　真ん中の血溜まりに、死体。
　而もあの、モンゴメリと並んでいた、組合の、険しい顔の男？

　その遺体を、大勢で見下ろしていて。


　組合。
　その勢力を、武装探偵社ならずポートマフィアまでに手を出したなんて。


「…………」


　ヨコハマの夜と夕方に、
　干渉するなんて……


　ヨコハマのお昼と朝は、
　大丈夫だろうか。


　私の視ていただけの世界たちは、
　大丈夫だろうか。


　それにしても、
　異国の刺客を、こんないとも簡単に……。


　そして。


　彼等は、跪いた。

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