13 猫は笑う ページ14
あれからどれくらい経ったかしら。
余り覚えていない。
Aは相変わらず、社員という立場ではなかった。
云うなれば、社の水槽の中で飼われている魚の様。
そこにいるだけの存在。
癒やし――情報を、与えるだけ。
あの時も、
あの時も、
あの時も。
社が危機に晒された時も、
社員が危殆に瀕した時も。
「…………」
そうして、谷崎潤一郎から逃げて来たAが鏡の世界をつたって、現実の探偵社ビル入り口に出ると。
「あらAちゃん久し振り!働いたの?偉いねぇ!どう?再会の印に、共に心中しない?」
出会い頭にデェトへのお誘い。
相変わらず暇なのかな、この人。
太宰治が、るんるんと立っていた。
【こんにちは。】
【先刻は中てが外れて、大損でしたね。ご愁傷様。】
「おや、私が競馬場にいた事まで知ってるとは、流石Aちゃんだね。――あ、谷崎君とは会ったかい?」
緩やかな風に髪を押さえて、とびきりの笑顔を見せてくる太宰。
対照的に、Aは超絶不機嫌。
「……ふむ。今日も善い香りがするね。お土産、ありがとう!」
【上にありますから。】
今も残っているかは、
定かではないが。
【私、今からうずまきに行きますが、誰にも云わないでくださいね。】
「え、じゃあ私も行く!若し相談事があるなら、聞くよ!」
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neko - 江戸川乱歩様、貴方には異能力が全く御座いません。サッパリです。 (2020年10月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - マカロニさん» マカロニ様、ご指摘ありがとうございます。早速プロローグにさせて頂きました。この様に切ない技量ですが、更新頑張りますので宜しくお願い致します! (2019年12月30日 11時) (レス) id: 51ec71086f (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - コメント失礼します。第一話のエピローグはプロローグの間違いではないでしょうか?(エピローグは終わりの時なので……)初コメントがこのような形ですみません。更新頑張って下さい。 (2019年12月30日 8時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年12月22日 22時