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40 トゥイードルたち ページ41

彼女だ。
扉の外より、敦を見下ろすモンゴメリ。


 まるで、私に云われたみたい。


 可哀相で、
 いい気味――。


「此処を開けてくれ!――――」

「――――貴方が独りぼっちになった後でなら……」


 横浜焼却作戦。
 私と敦君は、どうすればよいのか。


 探偵社を、
 ヨコハマを守りたい私たちは、


 一体、此処で、何を。


「なら逃げよう!」

「やめて!」


 二人の声は怒声になっていた。


 そういえば、モンゴメリは何故牢に来たのだろう。

 泣き顔を見に来た、
 というのは、どうも。


 それ以外の、理由が視えて。


「この傷の痛みと苦しさがどんなものか、貴方に想像できて?!」

「……!」


 咄嗟に拳を握り、口を結んだA。
 彼女の腕の、痛々しい火傷痕に、混乱した。


 今迄、生きてきて、
 そんな傷を受けた事は無かったから。


 私は逆に、
 傷付けて、いたから。


 彼女の気持ちが、判るはずなかった。


 私も、
 彼らと同じ、
 彼らと違った、


 孤独だった。


「…………」


 父様
 母様


 この懺悔は、
 もう後悔をしない様にと、


 自ら、閉じたものだったのに。


 どうしたら、


 横浜焼却作戦を、止められる――?





「僕も同じ場所にいた」





 その声に、Aは、はっとする。
 彼の方を視ると、


 彼も、右腹を、
 そこにも同じ様な、火傷痕。


 モンゴメリと一緒に、
 Aも絶句する。


「孤独は僕達を永遠に支配する王様じゃなかった。
 探偵社にきて、それが判ったよ」


 探偵社に、来て――判った。


 そう、だ。


 孤独だと、思ってきたけれど、


 何時だって探偵社は、
 私をあたたかく迎えてくれた。


 社に呼ばれた時は、


 胸があたたかくなった。


 だがらお菓子作りも、頑張れた。


 みんなに会いたくて、
 みんなの笑った顔を見たくて、


 だから。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 谷崎潤一郎 , 江戸川乱歩   
作品ジャンル:アニメ
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neko - 江戸川乱歩様、貴方には異能力が全く御座いません。サッパリです。 (2020年10月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - マカロニさん» マカロニ様、ご指摘ありがとうございます。早速プロローグにさせて頂きました。この様に切ない技量ですが、更新頑張りますので宜しくお願い致します! (2019年12月30日 11時) (レス) id: 51ec71086f (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - コメント失礼します。第一話のエピローグはプロローグの間違いではないでしょうか?(エピローグは終わりの時なので……)初コメントがこのような形ですみません。更新頑張って下さい。 (2019年12月30日 8時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年12月22日 22時

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