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04 仔猫の様に ページ5

泉鏡花が会議室に戻ると、


「おやA、今日も仏頂面で可愛いねェ」

「Aさんお久し振りですわ! 宜しければお購い物など、ご一緒しませんこと?」

「もー、みんな僕のAちゃんにちょっかい出しまくりー」


 事件は早々に解決したんだろう、会議は終了しており、
 和気藹々と、私がこの武装探偵社に来た時のように、彼女は皆に囲まれていた。


「鏡花ちゃん、ちょっとおいでー」


 呼ばれたので向かうと、
 二人して並べられ、


「「可ー愛ーいー!」」


 一緒に玩具にされた。
 あの人も、朗らかな顔で手を叩いている。


 少し、恥ずかしい。


【皆さん、私はもう諦めましたが、鏡花さんで遊ぶのは控えなきゃ駄目ですよ。】


 困った様に笑い、Aは皆に端末を見せる。打込みが速い。


 そして、その細い指で奏でられる言葉は、只の文字なのに、優しい感じがして。


「あ、Aちゃん。それ、今日の差し入れでしょ?頂戴頂戴!」


 乱歩さんが、Aの持っていた包みをバッと開けると、中から甘い香り。
 先刻感じた、善い香り。


「ビスケット!」


 小学生と化した乱歩が、バリバリ食べ始める。与謝野女医や他の社員も群がり始めて。


「ほら鏡花、敦も食べな。Aは菓子作りが得意でね、何時も絶品だよ」

「わぁ……美味しそう、ありがとうございます!」


 Aは照れているのか、少し俯いている。然し鏡花が見えると、


【沢山食べてね、鏡花さん。貴女は料理上手だから、評価怖いなあ】


 笑顔で腰を屈めてくれた。
 言葉も、行動も、
 なんて優しい人なのだろう。

05 戸惑い兎→←03 鏡の中の彼女だけの国



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 谷崎潤一郎 , 江戸川乱歩   
作品ジャンル:アニメ
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neko - 江戸川乱歩様、貴方には異能力が全く御座いません。サッパリです。 (2020年10月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - マカロニさん» マカロニ様、ご指摘ありがとうございます。早速プロローグにさせて頂きました。この様に切ない技量ですが、更新頑張りますので宜しくお願い致します! (2019年12月30日 11時) (レス) id: 51ec71086f (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - コメント失礼します。第一話のエピローグはプロローグの間違いではないでしょうか?(エピローグは終わりの時なので……)初コメントがこのような形ですみません。更新頑張って下さい。 (2019年12月30日 8時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年12月22日 22時

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