28 狂った帽子との茶会 ページ29
「おねえさん、席探してるの?
僕の前、空いてるよ☆」
帽子を被った、愛らしい少年が手招きをしている。
ニコニコと、足をぶらぶらさせ、ぐでんと笑う不気味な人形を抱えており、
まだアンの方が可愛いかな……と脳の片隅でAは考えながら。
【ありがとうございます。】
【素敵なお帽子ですね。】
端末を見せて、笑顔で向かい合った。
何となく、まるで今乗ってきたばかりの風貌で。
ポートマフィアか、
組合か、
何方かの誰ぞや。
よりによって、
厄災の方を、
引き当ててしまったか――
「へえ」
と、少年は反応した。
「おねえさん、お名前なあに?僕は夢野久作だよ」
天真爛漫な質問に、Aはどことなく大人の態度で応対する。
【私の名前は、界Aです。】
【よろしければどうぞ。手製の菓子です。】
小さな包みを渡した。
ふわりとバニラの香るカップケーキの入った綺麗なラッピング。
「わあお菓子!ありがとう!」
このままならば、
本当に可愛らしい幼気な少年。
でも、私は知っている。
「たまにね、構成員の中で、お菓子に毒を混ぜて来る人がいるんだよね」
空にその包みを投げ、取り、また投げを繰り返す夢野。
既にその眼差しは灰色で。
うん。
貴方の事もずっと視てきたから。
今日話すのも、
どきどきした。
偶然か、運命か、
乗った列車で、出会ってしまったから。
「でも、旅先で出会った綺麗なおねえさんからのモノなら、大丈夫そう!
僕は敵より、味方の人達に恨まれるからね。ずーっと誰にも、愛されないの!」
とても嬉しそうに包みを開け、カップケーキの銀紙を剥がし、一口齧って。
「おいしーい!」
無邪気な笑顔。
でもそう、この子の異能は本当に恐い。
敵味方関係なく、皆狂ってしまう。
104人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
neko - 江戸川乱歩様、貴方には異能力が全く御座いません。サッパリです。 (2020年10月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - マカロニさん» マカロニ様、ご指摘ありがとうございます。早速プロローグにさせて頂きました。この様に切ない技量ですが、更新頑張りますので宜しくお願い致します! (2019年12月30日 11時) (レス) id: 51ec71086f (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - コメント失礼します。第一話のエピローグはプロローグの間違いではないでしょうか?(エピローグは終わりの時なので……)初コメントがこのような形ですみません。更新頑張って下さい。 (2019年12月30日 8時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:午 | 作成日時:2019年12月22日 22時