57 星は熱い内に打て ページ17
……相手は中原中也ではない。もう先程、既に苦情の通話を終えたばかり。
辻村深月でもない。政府の人間には一通り、彼女の事は既に報告されている。
では誰か?
まあ、本当は、判っているのだが。
「もしもし、坂口です」
「…………」
掛けてきた相手は無言。何故こう、皆さん電話口で直ぐに言葉を発さないんでしょうか。
待っていると、その第一声は響いた。
「やっほー安吾!元気?私はね、まあまあ!」
太宰治。
異能力者。
武装探偵社社員。
以上。
そんな男が、如何してこちらの携帯に電話を掛けてきたのか、分かっては、いる。
「……未だ何か御用でしょうか。お使い頂いた金額や御礼は、送達済みですが」
ああ、私は、彼の言葉を、待っていたのだろうか?
どうしたって叶わない、この望みを。
この罪を滅ぼす為の、願いを。
「あはは、ありがとう!結構今月ギリギリだったから、助かるよ……まあ別に、彼女には幾ら使っても構わないんだけど」
本当に、この男は、昔から読めない。
然し今回は、違う。
そう、分かっている。
「でもね、私が本当に欲しいのは、そんなものではないのだよ」
分かって、いる。
「安吾、私と――取引しよう。それか、私と、組もう」
「……組む?」
「そうさ」
電話の奥の太宰の、不敵な笑みが見えた。
「来たる地下の鼠達との戦いに際して、徹底的な其の方法を確立するために」
安吾は、心臓ごと、震えた。
「このヨコハマを、守る為に」
心臓を抑え、真っ直ぐ前を向いた。
「私と安吾、そしてAちゃんの為に」
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午(プロフ) - 雪さん» 雪様、ご感想ありがとうございます! 文章が綺麗っていわれてとーっても嬉しいです! 雪様にお会い出来て良かったです! また遊びに来てください! (2023年3月29日 22時) (レス) id: 26aa10f063 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました…語彙力ないせいで上手く言葉に出来ないのが本当に悔しい…本当に文章が綺麗で惹き込まれます…この小説と出会えてほんとうに良かったです…( ; ; )♡ (2023年3月29日 5時) (レス) @page49 id: 235d41d493 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - yuriさん» yuri様初めまして、ご感想ありがとうございます!やばいくらい泣かれましたか……うぉぉありがとうございます!夢主を幸せに出来ました、思う存分叫んでください!これからも頑張ります。ありがとうございました! (2021年4月19日 23時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - はじめまして!初めてこの作品を読ませていただいたものです!感想を一つ2つ言いたいのですがあの泣きましたすごいもおあのやばいぐらいはい。それでもう一つ夢主ちゃん最終幸せに生きれてよかったねぇて叫びたい└(^o^)┘ではこれからも応援してます!頑張って下さい (2021年4月19日 20時) (レス) id: 2cc33a2b3d (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - シオリ様、ご読了と感想についてのご質問有難うございます!小説用Twitterはありません!既に下記文面で喜んで頂けた事が判明しているので、宜しければ此方にご感想を書いて頂くか、何もしなくても大丈夫です!お気軽に、宜しくお願い致します!此れからも頑張ります! (2020年1月20日 21時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年7月14日 14時