35 檸檬、白い花 ページ36
梶井基次郎は振り返る。
パタパタと、Aが小走りして来るのが見えた。
「梶井さーん！檸檬、落ちてましたよー！」
「うは！おお！一つ足りないと思っていたら転がっていたとは！予測がつき、予測不能なのが科学！感謝感激ですよ筧幹部補佐！」
今日も梶井さんはハイテンション。
いつだって明るく元気で、難しい言葉を並べるけれど全く嫌味に聞こえない楽しそうな人。
子どもみたいで、可愛いらしい。
「なんかホールに落ちてて、誰も拾おうとしなかったんで、思わず拾ったら檸檬爆弾でして…」
両手に乗せた檸檬型の爆弾を見せる。
「これ、ピン抜かなきゃ大丈夫ですよね？ とりあえず届けにきました」
「なんと慈悲深い！貴女は免疫機能が高そうですな！御礼にその檸檬爆弾は差し上げよう！」
「え」
「ピンを抜くまでは美しい紡錘形！退屈な世界を破壊！いつどんな時でも素晴らしい爆発をプレゼント！」
「あ、ありがとうございます……檸檬色好きなんで嬉しいです……」
ギクシャクした笑顔で檸檬爆弾を受け取るA。
絶対、使うときなんてないなぁ、と思った。
「して、ホールにいたということはお出掛けのご予定が？」
「はい、あの白い花、また見たくなっちゃって。今日の発声練習はあそこでしようかなと」
「おや、あの花、散るのがとてつもなく速いですぞ……もう青葉になっているかもしれませんな！うはははは！」
滅茶苦茶笑いながら、梶井さんはスキップして行ってしまった。
中原さんにも梶井さんにも笑われるの、なんでだろ。
「えーじゃあすぐ見に行っちゃおうかな」
クルリと後ろを振り向く。
今日は、ひぐっちゃんも銀ちゃんも姐様もいない。
まあ、幹部補佐になったし、護衛も不要だと思うが、いつも必ず誰かがそばにいた気がした。
――最近、みんな任務に出ていることが多く、拠点はがらんとしている。
「私も任務とか……出来ないのかな」
体術もまあまあ出来るし、
怪我は新鮮な程治りやすいから、みんなと任務に行けばすぐ治せるし、
他にも何か、できる事があれば。
「お留守番ばかりで……いいのかしら」
あ、だめだ。
くよくよして、むしゃくしゃし始めたら駄目になるかも！
こんな時こそ、あの丘で歌を歌おう！
あの時に付けてた、かんざしで髪をまとめて！
Aは、誰もいないエントランスから、行ってきますと言って、出て行った。
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午(プロフ) - リアさん» リア様、素敵なご感想とご指摘をありがとうございました！全然気付かなかったのでありがたいです。近いうちに修正します！またいつでも遊びに来てくださいませ！ (2021年2月2日 23時) (
レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
リア - 少し高圧的でしたかね？不快でしたら申し訳ない…更新頑張ってください！(唐突〜 無理矢理とか言うんじゃねぇ！) (2021年1月31日 23時) (レス) id: bba845c06e (このIDを非表示/違反報告)
リア - 凄く面白いですね！すぐ読み進めてしまいました！少し気になったのですが、34の所で夢主が芥川さんのことを龍之介さんではなく、芥川さんと言っていたのですが、これは意図的なものなのでしょうか？もし意図的にそうしているなら、すみませんが訂正されては如何ですか？ (2021年1月31日 23時) (レス) id: bba845c06e (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 徒花さん» 徒花様、ご感想ありがとうございます！頑張ります！ (2019年6月30日 0時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
徒花 - この作品初めて見ましたが面白かったです！頑張ってください (2019年6月29日 19時) (レス) id: 5d280f12f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午 | 作成日時：2019年5月14日 21時
