06 屠所の星 ページ7
「まあ、この異能で、自分の願いは、叶えられないから」
Aは笑う。
「だから、自分で出来る限りやって来たけど、私の異能で願いを叶えた人達のほうが出来てて、羨ましかったなぁ」
胸に手を当てる。
すると、聞いてくれている二人の眉尻が下がっていくのが見えたので。
「あ、でもね、でもね」
無理やり、笑顔を作って、人差し指を立てれば、
「最初は何でだろう、って思ったけど、でもね、自分で努力して、願いを叶えた方が、嬉しいって言うのがわかったから」
段々、その笑顔が本物になっていく。
「だから、私、頑張ってるよ!」
「良い子っ」
村社にくしゃくしゃと頭を撫でられる。気持ち良くて、目を瞑る。
「ガムあげるっす」
「ありがとう!」
ガムを貰って上機嫌なA。
嬉しいな。
楽しいな。
学校でも友達と喋っていたら、あっという間に時間は流れて行ったけれど、
それは此処でも同じみたい。
「あ、安吾先輩の会議、そろそろ終わるっすかね」
「では、お暇しよう」
「お二人共、忙しい中ありがとうね!またね!」
手をブンブン振って、
いつも通り、
来てくれた人を、
笑顔で見送る。
ここからは出られない。
これからも変わらない。
ここで私は一生を終える。
でも、それが一番良い事だから。
こんな異能は、
こんな私は、
居ない方が、良いから。
居なければ、
悪い事は、起きないから。
悪い事が起きるよりも、
善い事が起きるほうがいい。
悪い事よりも、
善い事をしたい。
その方が、幾らか、素敵。
だから。
異能は使わず、
悪い事はせず、
善い事をして、
人に優しく、
笑って、生きて、死んで行こう。
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午(プロフ) - 凛音さん» 凛音様、コメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年7月13日 20時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - いつも読んでいます!とても面白い!私は文ストの中では中也と太宰が好きなんです、これからも頑張ってください! (2019年7月13日 14時) (レス) id: 54808a52f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年6月30日 0時