04 仰いで星に愧じず ページ5
青木卓一は右方向に一歩、飛んできた竹刀を避け、落ちる前に掴んだ。
「あーごめんなさい青木さん!」
パタパタと、石Aが走ってくる。
渡してやると、ありがとうとへらへら笑う。
その後ろで共にヘラヘラしている村社は、肩に竹刀を乗せて口を切った。
「Aさん駄目っすよ。青木さん狙っちゃ」
「狙ってないですよ?!」
「遊んだのは村社だろう」
「どうでしょ」
部屋が広いこと、天井が高いことを良いことに、坂口安吾の側近である二人から手ほどきを受けているA。
現在、側近を外しての会議に参加している坂口安吾が解放されるまで、二人はここで暇を潰していた。
「んー、やっぱり地方大会レベルじゃ、まだまだ村社さんには敵わない……」
「いつか一本取られるの、楽しみにしてるっすよ」
「とりあえず、村社さんの竹刀を空高く上げられるようにはなりたい!」
たかが元高校生が、政府の用心棒に適うはずは早々ない。
が、先日まで片手で相手をしていた村社が竹刀を両手で持っていることに、A以外は吃驚しているのだが。
「真逆、出会い頭に弟子にしてくれって言われた時は真面でひいたけど……腕は良い方だと思うっすよ」
「えへへ、ありがとう村社のお姉さん!」
Aは、村社に初めて会った時、腰の鞘を見て――高校の剣道部にいた頃の気持ちが呼んだのか、キラキラした笑顔で縋り付き、懇願。
少々困惑した呆れ顔で、然し彼女はかなり軽いノリでOKしてくれた。
理由は恐らく、特にない。
「普段ぼんやりなのに、竹刀を持つと、少し雰囲気変わるの面白いっす」
「え?そうですか?集中しているだけかな?」
「そっすよそっすよ」
ニカッと、村社八千代は笑った。
280人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
午(プロフ) - 凛音さん» 凛音様、コメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年7月13日 20時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - いつも読んでいます!とても面白い!私は文ストの中では中也と太宰が好きなんです、これからも頑張ってください! (2019年7月13日 14時) (レス) id: 54808a52f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:午 | 作成日時:2019年6月30日 0時