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35 星の苦楽は壁一重 ページ36

中原中也は舌打ちする。


 太宰治を葬り去る絶好の好機、無駄にする訳にはいかないが、

 何より坂口安吾に借りを返せなくなりそうなこの状況こそが、苛立ちの最要因だった。


 ポートマフィアが、かなり合法的な方法で水族館に入ると、客はそこまでおらず、

 しかし人払いをしたい所だが、出来れば個人的にこの場を収めたいので、今この場の組織の人間は、俺一人。

 別に、教師眼鏡がどーとかじゃねェ。


「政府の人間がくれば諦めるくらい、閉じられてたんじゃねーのかよ」


 つうかよ。


「太宰と居たのは……何でだ?本当に、アイツがAを逃したのか?」


 いやいやいや。
 そんな面倒で、無益な事をするわけが無い。

 知り合い?

 いやいやいや。
 政府が今まで監理してたんなら、あの野郎が知っている訳がない。と、思う。


 でも。

 あの、太宰治の顔は。


「前から知っていた、みてーな顔」


 そしてあの雰囲気、表情。

 あんな年端も行かない、人畜無害な、
 関わりの一切無さそうな、
 光の中の、小さな少女を。


「一体、どういうことだ?」


 それに、太宰と心中ッて。


「A、死にてェのか?」


 それくらいの事を、政府がしたのか、
 元から、だったのか。


 こんな、詮索するつもりはなかったが。


「なんかしたのかよ、あいつ。真逆、異能を持ってるってだけで、捕まってんのか?」


 それは。

 だからこその、特一級異能者だからか。


「オレと違って、目を付けられたのが政府ッてだけか」


 それでも。
 太宰治にも、目を付けられた。

 ということか?


「あいつ」


 太宰治は。


「人の生死に、関わり過ぎだろ。どれだけ善人ぶりてェんだよ」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 凛音さん» 凛音様、コメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年7月13日 20時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - いつも読んでいます!とても面白い!私は文ストの中では中也と太宰が好きなんです、これからも頑張ってください! (2019年7月13日 14時) (レス) id: 54808a52f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年6月30日 0時

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