33 水と油と星 ページ34
石Aは思案せず、雄武返しにて対応をした。
「は、初めまして?」
誰?
知らない人、
知らないお兄さん。
なんか、お洒落な人。
素敵な帽子。
というか。
「お家?」
先程から疑問ばかりが浮かび上がる。何も考えなくていい、そんな感じだったから、直ぐ様適当な言動が出て来ない。
「そうだ。帰るぞ、家に」
家。
私の家。
私の家は。
私の家は、あそこしかない。
「政府の、ひと?」
「あ?」
「安吾君や深月ちゃんの、仲間の人?」
私を迎えに来るような。
家に帰ろうなんて言う人は、それしかないから。
“ 政府の人間と分かれば、彼女は抵抗しません ”
「……あー、そうだ。アンゴクンヤミツキチャンノナカマデスヨ」
中原は手っ取り早く話が進む方に持っていく。石Aの後ろにいる奴が笑いを堪えているのだけが鼻につく。
それよりも。
こいつが、石A?
特一級異能者?
日本政府の危険異能者リストに載っている?
危険な?
全ッ然、見えねェけど。
全然、ぽやぽやしてやがるけど。
ま、異能力者は見た目じゃわからない。
気弱な少年が獰猛な異能を持っていたり、
可憐な少女が殺戮の異能を持っていたり、
そこのジトーっと此方を伺っている青鯖が、それらの異能を消せるなんて。
この街では、常識こそ疑え、だ。
「で、Aサン。其処の男とはどの様なご関係で?」
「え?太宰さんのお兄さん?」
綺麗な声。
綺麗な顔。
綺麗な心。
「私は」
如何にも、太宰の好みそうな女だ。
「太宰さんと今日、心中します」
「はァ?」
かなり間の抜けた声が出た。
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午(プロフ) - 凛音さん» 凛音様、コメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年7月13日 20時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - いつも読んでいます!とても面白い!私は文ストの中では中也と太宰が好きなんです、これからも頑張ってください! (2019年7月13日 14時) (レス) id: 54808a52f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年6月30日 0時