31 埋もれ木に星が咲く ページ32
波の音。
茜さす風の中。
手を繋いで、Aと太宰は人も疎らな広い道を歩く。
たまに目を合わせ、微笑む。
肩をくっつけて、互いを感じる。
まるで、恋人の様に。
強い潮風が吹いた。
Aは一瞬浮き上がった様によろけるが、太宰は肩をしっかりとおさえ、支える。
ほぼ、零距離。
互いの髪が、頬を掠める。
「「…………」」
目を逸らしたのは、A。
「何で逸らすの」
「だって……えへへ、あはは」
「なになに」
ふわふわ
きらきら
ぴかぴか
幸せな時間。
ああ、きっと、
これが本当の幸せ?
これが本当の願い?
でも、違うでしょ?
私たちの願いは、この幸せの中で、終えること。
もうすぐ夜。
夜になれば、異能が終わる。
夜になれば、全てが終わる。
「Aちゃん……」
太宰さんが頬に触れる。
あれ、なんか、温かい。
太宰さんが拭ったのは、涙?
どうして私、泣いてるの?
「何で……?」
太宰さんの口が動いた。
聞こえない。
「なあに?」
近づいて、聞こうとしたら。
ゆっくり、
重なる唇。
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午(プロフ) - 凛音さん» 凛音様、コメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年7月13日 20時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - いつも読んでいます!とても面白い!私は文ストの中では中也と太宰が好きなんです、これからも頑張ってください! (2019年7月13日 14時) (レス) id: 54808a52f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年6月30日 0時