25 塞翁が星 ページ26
「よーしよし、そろそろ頃合いだね。Aちゃん、たんとお上がり」
太宰さんが手で指し示す。野菜も蟹も、綺麗な色に煮えていて。
「わあ、頂きます!」
待ちに待っていたこの時間!
蟹を上げ、湯気をもうもうと立てる様を眺める。
ホクホクの蟹、火傷に注意しながら、専用の器具や鋏で身を取り出し、ぱくり。
「…………!」
声にならない美味しさ。
分厚いながらも柔らかい身は噛む度に旨味を増し、出汁をたっぷり吸い込んだ赤は宝石の様。
というかポン酢美味しい!
野菜もシャキシャキで、お豆腐は溶けていく!
「良かったねぇ、Aちゃん」
表情や雰囲気から全て汲み取ったのか、そう優しく言ってくれる太宰さん。
見れば、とても器用に蟹を掻き出している。
「太宰のお兄さん、上手だね!」
「こういう器具とは仲良しだからね」
「?」
「ああえっと……私は蟹が好物だから」
「ほんと!? じゃあ良かった!」
そのままの笑顔で、Aは言う。
「おんなじ、幸せだね!」
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午(プロフ) - 凛音さん» 凛音様、コメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年7月13日 20時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - いつも読んでいます!とても面白い!私は文ストの中では中也と太宰が好きなんです、これからも頑張ってください! (2019年7月13日 14時) (レス) id: 54808a52f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年6月30日 0時