20 星を欠く ページ21
坂口安吾の眉間に皺が寄る。
其処はAという名の少女に与えられた、だだっ広い部屋だったが、当の本人は不在。
彼女が毎日の遊びで作った殺人現場はそのまま、特殊な材質の厚みのある壁は破壊され、外まで続いていた。
石Aは――何者かに誘拐された。
ということでこの件を進めているが。
どうにもおかしい。
石Aが消えた瞬間が不明。
壁が破壊れた方法も不明。
壁が破壊された音や映像もない。
彼女に取り付けていた発信機等の類も全て落ちていて。
犯人の狙いが、彼女の異能、ということしかわからない。
確実ではないが、それしか考えられない。
それ以外に、あの少女に価値があるとは思えない。
真夜中に、少女だけが消えた。
腕時計を見れば、もうすぐ正午。
臆するな、未だ、彼女の異能は発動しない。
端的に言うと、困った。
現在、部屋を調べてはいるものの、何処に行ったか全く持って分からない。
「手詰まり……ですか」
呟くように、部屋を出ようとすると。
「坂口先輩! 坂口先輩!」
「一度呼ばれたら分かります。何ですか」
後輩である辻村深月が、血相を変えて走ってきた。
石Aがいないと判った瞬間、咄嗟に動いたのは彼女である。
綾辻探偵事務所には行かず、朝から、街の監視カメラの映像を血眼で分析していたらしい。
「あの、どうですか、こちらは」
「部屋には壁以外、何も残っていません。失踪に繋がりそうなものは、何も」
「そうですか……」
かなり落ち込んだ様子の辻村。そう言えば、一番仲が良さそうだったのは、彼女だったのかもしれない。
「で、貴女は何か用が?」
あんなに慌てていたにも関わらず、何もないわけが無い。
恐らく、分析が終わったのを報告しにきたのだろう。
「ああ、そうでした。あの、監視カメラの映像を洗って、小さいんですが!恐らく!」
携帯の画面を見せ付けられる。
そこには。
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午(プロフ) - 凛音さん» 凛音様、コメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年7月13日 20時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - いつも読んでいます!とても面白い!私は文ストの中では中也と太宰が好きなんです、これからも頑張ってください! (2019年7月13日 14時) (レス) id: 54808a52f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年6月30日 0時