02 星ならぬ身 ページ3
「ドッキリだいせいこう!」
そうはしゃぎながら、額の赤を手に取り舐めた。微かに、苺ジャムの香りがする。
辻村は監視カメラをキッと睨んだ。
この少女が殺人現場を仕立て上げ、自分が驚きの声をあげるまで、ニヤニヤ見詰めていたエージェントがいたのであろうか?
だから、一昨日と昨日の担当をしていた先輩方は、苦笑いで私を見送ったのか。
ぐぬぬぬ。
「今日は深月ちゃんだったんですねぇ。今迄で一番良い反応でした」
石A―――――――。
―――能力名「
特一級危険異能者。
「Aさん……大人をからかうのも大概にしてください……」
そう言って拳銃を仕舞う。
初めてあった頃はあんなに儚げで震えていたのに、最近まで女子高生だった彼女の環境適応能力は半端ない。
既に、名前にちゃん付けで呼ばれているし。
「最初の頃呟いてた、私と同じ時代にーってのはやらないんですか?」
「何で知っているんですか忘れてください!」
前に聞こえてましたよと、少女は無邪気に笑う。
これがあんな危険な能力を持っているのだから、人は見た目で判断出来ない。
こほん、と辻村は仕切り直し、
「Aさん、何故此の様な悪戯を……」
「さっき朝のニュースで見たもので」
「ええ……」
「たまにはサプライズがあってもいいかなって」
ジャムを全て舐め終わったようで、指をちろちろと舐めている。
しかしまだ汚れている額のジャムを取ろうと、ハンカチを取り出し近づくと。
ズザッと彼女は後退った。
後ろは壁。
少々、気迫した表情。
初めて出会った頃の様に、
怯えた瞳。
「……大丈夫ですよ、Aさん」
そんな一言にもビクッとするA。
「まだお昼前です。先程、朝のニュースを見たばかりなのでしょう?」
辻村深月は距離をつめる。
「貴女の異能は、夜にしか発動しない」
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午(プロフ) - 凛音さん» 凛音様、コメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年7月13日 20時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - いつも読んでいます!とても面白い!私は文ストの中では中也と太宰が好きなんです、これからも頑張ってください! (2019年7月13日 14時) (レス) id: 54808a52f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年6月30日 0時