40 彼女 ページ40
「ーーーーあの、作之助さんが、今のお仕事に就いた理由って」
「………………」
唐突。
まるでAは、波のよう。
「前の仕事を、止めて、やりたい事が、あったから、ですよね。こう、アバウトにしかですが、すみません、店長さんにお伺いしました」
アバウトに。
本当に、中身は知らないらしい。
きっと、慈善事業関係だと信じて疑っていないのだろう。
「ね」
此方を振り返ったAは、
綺麗な顔だった。
そしてまた、歩き始める。
「……ちゃんと、前に進められたんですね」
オレは、立ち止まったまま。
「作之助さんの様な強さがあれば、私も生き方を変えられたでしょうか」
強さ?
「生き方?」
「何かの為に、生き方を、変えられたら、私も、本当の小説家に、なれたでしょうか」
Aは立ち止まった。
「オレは」
ハッと、気付く。
彼女の立つ場所は、高台の縁。
彼女の向こうは、ひたすらの闇。
織田は、走った。
「オレは」
小説家に、なりたかった。
「私も」
小説家で、いたかった。
「もう、酔っちゃいました」
地面から靴が離れる。
Aが、
夜空を舞う。
闇に、堕ちていく。
33人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
午(プロフ) - 怜さん» 怜様、ご感想ありがとうございます!お優しいお言葉で、泣きそうでございます。これからも頑張ります! (2022年1月31日 20時) (レス) @page45 id: 05323f7eaa (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 場面を想像させる様な綺麗で幻想的な文に、しっかり作りこまれた物語。今まで読んだ織田作の夢小説の中で1番好きです。これからも頑張って下さい。 (2022年1月31日 1時) (レス) @page45 id: 64384c94d7 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 柊 琥珀さん» 柊 琥珀様、ご感想ありがとうございます.......! 嬉しい.......! (2022年1月9日 0時) (レス) @page42 id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 書き方が好みだ……。 (2022年1月8日 17時) (レス) id: 17f9b038b0 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - Asukaさん» Asuka様、ありがとうございます!めっちゃ頑張って書きます! (2021年8月24日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:午 | 作成日時:2021年6月27日 0時