【コラボ】傷を癒すために【歌い手】 (ページ9)

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どうしたら～女主視点～ページ9

――空君が携帯を切った

かと思えば、ナノ君と英語？で話し出した

うん、全くわからない
わかるわけない

ある程度話終わったあと、空君は部屋から出て行ってしまって、
追いかけようとしたらナノ君に止められた

「柚子…話があるから」
『でも空君が…』
「空は大丈夫だから…」
きゅっと私の腕を掴むナノ君の手に力がこもった

ナノ君の瞳を見ると、もう振り払うことはできなくて

『――わかった』
向かい合って椅子に座って話を聞く

なんだか大事なことみたいだったから他の人達には聞こえないように離れたところで待ってもらうことにした

「―…よく、聞いてね…一回しか言わないから」
『う、うん』

少し間をおいてからナノ君が口を開いた

内容は……――私が考えもしなかったこと

――――
―――

『――そっか…』

私の記憶がないのは少し予想はついてた
でも心の傷なんてものはまったく自覚できない―――そんなものかな…？

一番驚いたのは…

『私の、両親が…』

黒川さんに…

『ころ、された…』
「そう…だと思う」
断定しては言わないが、ほぼ、確実なんだろう

『そ、か…』
悲しい…かな

きっと悲しいとか、寂しいとか、憎いとか……そんな感情なんだと思う

でも仮にも姫歌ちゃんと私は親友だった
それなのに私の両親は黒川さんに殺された

ナノ君のお母さんや空君のお母さんと母が仲が良かったのは素直に嬉しかった

じゃあ、黒川さん達とは…？

どうして両親は死ななきゃいけなかったの？

わからないよ…

『――あ、空君はどこに？』
そう聞くとナノ君は黙り込む

なんだか…これだけは絶対に聞かないといけない気がして…

『ナノ君！お願い教えて！』
「…無理だ」
そう簡単には聞き出せそうにない

当たり前か…
空君も暗い顔してたからな

『…わ、かった…ごめん』
諦めることにした

だけどそうしてもナノ君の表情は晴れなくて――

この答えじゃダメだったのかな？
とか思ってしまう

追いたい

今すぐ追いかけてこの変な胸騒ぎを止めてほしい

なんだか自分の感情がわからなくなってきて…でもどんどんいろんなものが溢れて…

『っナノ、君…』

――気付けば泣いていた

「っ！」

両親のこと黒川さんのこと空君のこと…いろいろごちゃごちゃになって
わからない

『頭、痛い…』
私がしゃがみこんだ――――瞬間

ボソ、と

――――――――聞こえた