我が儘探偵とイヴ ページ21
「ただいま帰りました」
「敦、おかえり」
平穏な
鏡花が誰よりも早く迎えの言葉を口にする。
銀行強盗の件以来特段大きなことは何もなく、そのせいかあの出来事が凄く前に感じた。あれからナオミさんとよく話すようになったし、心なしか鏡花達他の社員とも打ち解けあえてる……気がする。
そろそろやることに戻らないとな、と思いながら時計を眺めていると、突然江戸川さんが騒ぎ出した。
「お菓子全部なくなってるじゃん!誰か買ってきてよ」
棒付き飴をくわえながらきょろきょろ周囲を見回すと、びしっとこちらに人差し指を向ける。
「ねーA、買ってきて。暇でしょ?」
「……あ、え、私ですか?」
「君以外に誰がいるの?」
江戸川さんが私に買い物を頼むのは珍しい。むっつりとした表情で江戸川さんは手招きをした。近寄ると、一枚の紙切れを手渡される。
「これが僕の好きな駄菓子
「こ、こんなに?」
「そ。なんか文句ある?」
いや別に構いませんけど……。
買い出し程ではなくとも結構びっしりある。あんまり駄菓子を買った経験はないから、ちゃんと分かるかなと不安になった。
江戸川さんの視線を感じる。ちら、と横目で見るとばっちり視線が重なった。気まずい。
江戸川さんは少し手を顎に当て考える仕草を見せた後、ぱちんと指を鳴らして笑った。
「そうだ。鏡花ちゃんと賢治君と……ナオミちゃんも一緒に行ってあげてよ」
「なっ、一人でおつかいくらい平気です。大丈夫です」
「分かった。着いていく」
「ちょっと鏡花、私は平気だって……」
上からの命令だから。
鏡花は口ではそう言っているけれど目は輝いている。もしかして駄菓子を見に行きたいだけ……?
「乱歩さん、僕のこと呼びましたか?」
「呼んだよ!Aが駄菓子のおつかいに行くから付き添いしてあげてほしいんだ」
「成程、初めてですもんね。お安いご用です!」
いつも通り明るいふわふわした笑顔を宮沢さんは浮かべていた。ナオミさんもやって来て、江戸川さんが軽く説明をすると彼女もこれまた笑顔で承諾した。
たかが駄菓子を買いに行くのにこんな大人数の必要あるんだろうか。いや、ないよね?
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作者名:ふわふわありす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/inotaku093312/
作成日時:2023年11月16日 21時