ギャップがすごいね、三ツ谷くん。【三ツ谷隆】

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「みつやくんって誰？」


『…隣の席の子』


「へー、初めて聞いたけど」





「言ったら面倒臭いもん」と心の中で少し毒を吐く。

ママは何かと大ごとにするから、もしこんなこと話したら毎日毎日うるさいから絶対言わない。





「Aの好きな子？」


『ちゃんと前見て運転してくださーい』


「やーね、思春期の子は」





靴を脱いで助手席に体育座りしながら幾度となく変わる風景を眺める。





「その子はどんな子なの？」


『…ギャップがすごい』





そう一言でまとめてしまえば「いや、どういうこと」と突っ込まれる。





「ま、明後日ちゃんとお礼言いなさいよ」


『わかってる』





そっか。明日は三ツ谷くんに会えないんだ。

メッセージ、送ってもいいかな。

隣の席になって、仲良くなってすぐに交換したメールアドレス。毎日会ってるし特別使うわけではないけど、こういう時こそ使うべきだよね。

携帯を開くとメッセージが来ていて確認をする。





『(…三ツ谷くんからだ)』





すぐにメールを開くと、彼らしい文章が書かれてあってニヤケが止まらない。





【あれから体調大丈夫か？大方、絵描くの夢中になって夜更かししまくったんだろうけど、ゆっくり寝て休めよ。】





最後に「返信はいらない」というメッセージが添えてある。





『(うん、好き)』





というか、なんで私が絵描くの夢中になってここ最近夜更かししてたの知ってるんだろう…！

“三ツ谷くんはエスパー”と私の三ツ谷くん辞書に新しく載せておく。





「なーにニヤニヤしてんの」


『ちゃんと運転してくださーい』





私が携帯を眺めながら笑っているのを見たママは、そう言って揶揄ってくる。

私は貰ったメールをちゃっかり保存して、帰ってからしっかり返信しようと決めて携帯を閉じた。





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