第六百九十七話:DIOという男 6 ページ41
〈side アヴドゥル〉
アヴ「…悪いが断らせてもらう!貴様は絶対的な悪だ。わたしは決してそんなものには下らん!」
DIO「ほう……それは残念だ。」
わたしの返答に、奴は大袈裟に肩をすくめてみせた。ゆるゆると横に振った首をこちらに向けて、その赤い瞳を開く。
口元を三日月の形にした奴の口の端から、鋭い歯がチラリとのぞいた。
DIO「ならば、やはり死んでもらおうッ!」
どこからか、奴は数本のナイフを取り出した。
奴の両手から素早く放たれたそれは、わたしを目掛けて一直線に向かってくる。
しかし、そんなチャチな芸当は、わたしには通じん!
アヴ「マジシャンズレッド!」
周囲で待機していた炎が、空中で飛んでくるナイフを溶解する。わたしの炎は、鉄をも溶かすことができるのだから。
DIO「フフフフフ!」
笑い声とともにDIOがもう一度放ってきたナイフを溶かした直後のことだ。
奴は突然、驚いたような表情を浮かべた。
わたしの背後を凝視して、眉をひそめている。そして顔に貼りつけていた笑みを崩し、吐き捨てるように言葉を発した。
DIO「フン、大人しく逃げ出せばよかったものを!」
アヴ「ッ⁉」
わたしのすぐ横を、何か赤いものがかすめていった。勢いのついたそれは、わたしを通り過ぎて、DIOの方へと飛んでいく。
…あれは……消化器か⁉
ーバキッ!
なぜか飛んできたそれを、DIOは容易に腕でへし折った。穴が空いたのか、次の瞬間、中身の粉末が勢いよく噴出される。
DIO「!!」
みるみるうちに、DIOの姿が白く包まれていく。
完全に奴の姿が見えなくなった時、いきなり服の袖を後ろにグイッと引っ張られた。
振り向けば、袖をつかんでいたのはー……
『アヴドゥルさん!逃げましょう!』
アヴ「なっ……ハル⁉」
今逃したはずのハルだった。…逃げたはずじゃあなかったのか⁉
肩で息をするハルにつられて、その場から走り出す。
アヴ「なぜ戻ってきたんだ!それにアレは……」
『消化器投げるのなんて初めてでした、すっごい重かったですよ。』
DIOに向けて噴射しても良かったんですけどね、と、ハルは無邪気に笑っている。
…それはつまり、あの消化器の攻撃はハルがやったということか…⁉どうしてそんな危険なことを…。
『スタンドとか関係なしに、私は皆さんの役に立ちたいんです!』
にっこりと優しく微笑むハルだが、その目には強い光が生まれていたのだった。まったく…、参ったな。
第六百九十八話:逃走 3→←第六百九十六話:DIOという男 5
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サナ - 前の誰かに教えてほしくて13で、まさかの、推しに告られるとは………。びっくりです。(この作品最近ハマってますっ!キュウべえさんの作品まじ神っ!!) (2022年8月13日 13時) (レス) @page11 id: d7d01d7c2d (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - ピーカンパイさん» わ〜!ぜひぜひ仲良くしてほしいです!ゼペット……すみません、流行に疎くて、よくわからぬのです。いつもありがとうございます! (2020年7月11日 19時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - こけし@黒死牟さんはロリさん» ぜひお願いします…DIO様をチャチャッと倒しちゃってください!旅行か〜、そういうお話も楽しそうです! (2020年7月11日 19時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
ピーカンパイ(プロフ) - のりぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいあとのりぴーの誰かに教えてほしかったのところで(最高すぎて)昇天しました。キョウべえさんのせいです。おわびに友達に(((ゼペットっていうゲームしましょ((( (2020年7月10日 17時) (レス) id: 72c8a4a708 (このIDを非表示/違反報告)
こけし@黒死牟さんはロリ(プロフ) - DIOチャンは私が倒す みんなは幸せに 旅行でもイキナサァイ (2020年7月8日 16時) (レス) id: ae1e4ed40f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キョウべえ | 作成日時:2020年7月5日 6時