第六百九十六話：DIOという男 5 ページ40
〈side アヴドゥル〉
まずい……非常にまずいッ！
ハルを追ってここまで来たが、まさかDIOと出会ってしまっていたとは。とっさに臨戦態勢に入ってしまったが、わたし一人では確実に負ける！
アヴ「…炎で奴を足止めできるか試してみる。ハル、お前は先に逃げて、ジョースターさんにこのことを伝えるのだ。」
ヴァニラ・アイスとの件で学んだ。
大切なことは、その場をしのぐことではないのだ。残された者たちを勝利に導く、それが重要だ。
『でも……』
ハルは迷っているようで、眉を下げながらこちらを見上げている。
わたし一人ではどうしようもないことはわかっているのだ。しかし、わたしが生き残ったからといって、この腕ではとても役になど立てないだろう。
アヴ「…ハル、はっきり言うが、お前の能力はこの場では役に立たん。早く行くんだ！」
しかし、ハルならば皆の役に立てる。
以前話していたのだ。彼女のスタンド能力で、瀕死の動物に「生きろ」と命令したところ、その動物は無事生き延びたらしい。
『っ……。』
それが人間相手にも効くのかは定かでないが、少なくとも彼女は希望だ。
ここで死なせるわけにはいかん。何としても、生還させなければならないのだ！
アヴ「さあ、早く行け！」
『…わかりました……。』
唇を噛んでうつむいたハルは、ギュッと目を閉じた。
それから我々に背を向けて、足を踏み出す。そのまま走って行った彼女を確認しつつ、DIOはわたしを見つめていた。
…ここで命を落とすことも、覚悟しなくてはならん。
DIO「アヴドゥル、かつてお前とわたしが出会った時…お前は一目散に逃げ出したな…。
しかしあの時のわたしは、お前を殺すつもりなどこれっぽっちも無かった……。」
この期に及んで何が言いたいのだ…。
以前にこいつと出くわしたときも思ったが、奴の言葉には危険な甘さがある。
奴の言葉を聞いていると、なんというか、心が安らいでしまうのだ。
DIO「あの時は、質問をする前にお前が逃げてしまったが……丁度いい。今…もう一度聞こう。
お前の能力は優秀だ。今ではその体たらくとはいえ、殺すのは惜しい…。
奴らの仲間をやめて……このDIOの仲間にならないか？」
思わずギリギリと歯を噛んだ。
わたしが仲間を裏切ると思っているのか…この男を、どうしてもわたしは許せん！
故郷エジプトに寄生するこのドス黒い悪を、わたしは倒さねばならないのだ……！
第六百九十七話：DIOという男 6→←第六百九十五話：DIOという男 4
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サナ - 前の誰かに教えてほしくて13で、まさかの、推しに告られるとは………。びっくりです。(この作品最近ハマってますっ！キュウべえさんの作品まじ神っ！！) (2022年8月13日 13時) (
レス) @page11 id: d7d01d7c2d (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - ピーカンパイさん» わ〜！ぜひぜひ仲良くしてほしいです！ゼペット……すみません、流行に疎くて、よくわからぬのです。いつもありがとうございます！ (2020年7月11日 19時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - こけし@黒死牟さんはロリさん» ぜひお願いします…DIO様をチャチャッと倒しちゃってください！旅行か〜、そういうお話も楽しそうです！ (2020年7月11日 19時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
ピーカンパイ(プロフ) - のりぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいあとのりぴーの誰かに教えてほしかったのところで(最高すぎて)昇天しました。キョウべえさんのせいです。おわびに友達に(((ゼペットっていうゲームしましょ((( (2020年7月10日 17時) (レス) id: 72c8a4a708 (このIDを非表示/違反報告)
こけし@黒死牟さんはロリ(プロフ) - DIOﾁｬﾝは私が倒す みんなは幸せに 旅行でもｲｷﾅｻｧｲ (2020年7月8日 16時) (レス) id: ae1e4ed40f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キョウべえ | 作成日時：2020年7月5日 6時
