第六百五十七話 ページ1
〈side 花京院〉
『……あっ』
立ち上がった悠さんの体が、グラリと傾いた。今さっき肉の芽が抜けたばかりなんだ。足元がおぼつかないのも仕方がない。
問題は、彼女が僕の方に倒れ込んできたということだ。
花京院「ハ、ハイエロファントグリーン!」
『……んぐ、ありがとうございます。』
抱き止めればよかっただけの話なのだが、僕にはそれが出来なかった。
ハイエロファントは彼女の全身にまとわりついて、その動きを止めてしまう。口元すら覆ってしまった。
怪我をさせたくなかっただけなのだが…これが過保護と呼ばれる由縁か。
花京院「…本当に、アレは聞いていないんですね?」
『アレ?って、なんです?』
花京院「う……。」
わ、わからん…さっきの彼女の言葉は何だったんだ?
『友だちとしては好きだ』だとか、『ごめんなさい』だとか……あれはもしかして、遠回しな拒絶なのかと思ったのだが。
僕のアレを聞いていないのならば、そういう意味じゃ無いんだろうか……。
『典明さん……。』
花京院「んっ⁉」
『あの、解いてほしいんですけど…。』
花京院「……ああ、すみません!」
どっちなんだ…。悠さん、あなたは何を考えているんだ⁉
僕はフラれたのか?それとも、ただの考えすぎか?
ううっ、ハッキリしてくれ!
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〈side 悠〉
…こ、こわい……。
さっきから、典明さんがジーッとこちらを見つめてくる。心当たりが無いわけじゃないけど、それはさっき謝ったじゃないか。
『…えっと、何か…?』
花京院「!!」
視線が合うと、彼はそれをパッとそらしてしまった。…私、他に何かまずいことでもしたかな…?
しかし、典明さんはすぐにいつもの調子に戻ったようだった。辺りを注意深く見渡してから、小さく私に話しかける。
花京院「…さあ、もう行きましょう。皆を追いかけなければならない。体調は大丈夫ですか?」
『はい!』
実はまだ、足がふらつくのだが、そんなことは言っていられない。
早く行かなければ、手遅れになってしまうかもしれないのだ。
花京院「…コラ、悠さん。嘘つきましたね?」
『え?な、何のことですか?』
花京院「誤魔化さないでください。あなたは嘘をつくとき、誰かしらの手の甲に触れる癖があるの、ご存知で?」
『⁉……あ、ほんとだ!』
私の体調不良を見抜いた典明さんは、苦笑を顔に浮かべたのだった。
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サナ - 前の誰かに教えてほしくて13で、まさかの、推しに告られるとは………。びっくりです。(この作品最近ハマってますっ!キュウべえさんの作品まじ神っ!!) (2022年8月13日 13時) (レス) @page11 id: d7d01d7c2d (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - ピーカンパイさん» わ〜!ぜひぜひ仲良くしてほしいです!ゼペット……すみません、流行に疎くて、よくわからぬのです。いつもありがとうございます! (2020年7月11日 19時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - こけし@黒死牟さんはロリさん» ぜひお願いします…DIO様をチャチャッと倒しちゃってください!旅行か〜、そういうお話も楽しそうです! (2020年7月11日 19時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
ピーカンパイ(プロフ) - のりぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいあとのりぴーの誰かに教えてほしかったのところで(最高すぎて)昇天しました。キョウべえさんのせいです。おわびに友達に(((ゼペットっていうゲームしましょ((( (2020年7月10日 17時) (レス) id: 72c8a4a708 (このIDを非表示/違反報告)
こけし@黒死牟さんはロリ(プロフ) - DIOチャンは私が倒す みんなは幸せに 旅行でもイキナサァイ (2020年7月8日 16時) (レス) id: ae1e4ed40f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キョウべえ | 作成日時:2020年7月5日 6時