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自然と口から『シャ…ル…。』と出ていた。
名前を呼ぶと、私の腕を掴む手に力が入った。
「…電話もLINEもしたんだけど…。
今日、時間ある？
話したい。」
真っ直ぐな目が私を捉えて離さない。
��話したい��って、何の話？
悪い話？
いい話？
今の私は、悪い話としか考えることができない。
『私は…話すこと何もないよ。』
腕を自分の方に引き寄せ、シャルの手を振り解こうとした。
でも、男女の力の差で一向に振り解けない。
「俺はあるよ。」
そんな一方的に言われても困る。
『私はないんだってば。』
予鈴が鳴り響いた瞬間、シャルの力が一瞬抜けたことを私は見逃さなかった。
バッ！と手を振り解くと、シャルの切なそうな表情が見えた。
そんな顔されても知らない。
『私、今から授業だから行くね。』
「あ…。」
私たちの間にできた溝はなかなか埋まらない。
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作者名：きなこもち | 作成日時：2021年5月2日 11時
