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それは、居るだけで汗の流れ落ちる暑い夏の日だった
目の前の面白い子は豆鉄砲くらった鳩のようだ
動かぬ口の代わりに目で訴える「正気の沙汰なし」
でもそんな雑念に囚われていては袋小路
だるまさんがころんだ
つられて私も転んだ
そのまま地面に伏せた
でも名前は呼ばれなかった
だるまさんがころんだ
友達の彼が僅かにふらついた
少女はゆらりそちらを見やった
名前呼ばれて彼は捕まった
《だるまさんがころんだ
はやくしないと連れてっちゃうよ
だるまさんがころんだ
はやくしないと指切っちゃうよ
だるまさんがころんだ
はやくしないと冷めきっちゃうよ
だるまさんがころんだ
だるまさんがころんだ》
真剣勝負と云うには不条理だ
この直線距離だけどうにか縮めたい
酸いも甘いも飲み込んで
私は全速力で駆けた
先の傷は痛くなかった
痛みすら思考の外だった
そして奴の背中に触れた
彼等は意識を戻した
一斉に折り返せ！と私は叫んだ
全速力で駆けた
先の傷は痛くなかった
痛みすら思考の外だった
奴は「止まれ！」と手を挙げ叫んだ
身体が動かなくなった
奴は真っ直ぐ近づいた
私の前でぴたりと停止した
冷や汗が滴り落ちる
だんだん近づいてくる手に思わず目を瞑った
「日が暮れるからもう帰ろ」
と、差し伸べられた手に驚きながらも、笑顔で手を重ねて私たちはその場を去った
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きなこもち(プロフ) - ダチュラさん» ありがとうございます(*'ω'ﾉﾉﾞ (2021年5月28日 6時) (
レス) id: 9b397e807b (このIDを非表示/違反報告)
ダチュラ - 初見です！！御伽噺の遠回しな表現が、すごい……！！ (2021年5月27日 22時) (レス) id: d99cf3ac4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこもち | 作成日時：2021年4月4日 20時
