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「A。」
『ん?どうしたの、フェイタン。』
彼から話しかけてくるとは珍しい。
「これ何か。」
と、彼が見せてきたのはある一冊の本だった。
題名は“世界の拷問”
こんなもの教会にあったっけ。
『これはいろんな種類の拷問を分かりやすくまとめてある本だよ。』
「拷問て何か?」
『うーん…簡単に言うと、被害者の自由を奪った上で肉体的・精神的に痛めつけることにより、加害者の要求に従うように強要する事かな。
特に被害者の持つ情報を自白させる目的で行われるよ。』
あれ?これ確か未成年は見ちゃいけない系の本だったよね?
でも心做しかフェイタンは目をキラキラさせている。
何か悪い予感が…。
「これ読んでもいいか?」
『ダメ。』
だと思ったよ。
こんなのやらせたら暴走して取り返しのつかないことになるぞ。
「何でダメか。」
『これはフェイタンにはまだ早いからだよ。
しかも教育にもよくないしね。』
「ワタシはもう大人よ。」
『そんな小さい身体してて何言ってるの。』
「あれ?フェイタン達何してるの?」
シャルが顔を覗かせる。
『フェイタンが拷問に興味示しちゃってさ。
今諦めさせるために説得してるとこ。』
「あははっ、拷問がどんなものか俺は分からないけどフェイタンは一度興味持ったら二度と諦めないよ。」
まじか…。
まあ薄々勘づいてはいましたけども…。
こんなときは最終兵器だ。
『クロロー。』
「何だ。」
『フェイタンにこの本読むのを諦めさせてほしいんだけど。』
「は?断る。」
『報酬はプリンで。』
「仕方ないな。」
安いなおい。←
「フェイタン、Aが涙を流しながら懇願してるぞ。
いい加減諦めてやれ。」
ん?そこまでお願いしているつもりはないんだけどな。
「嫌ね。」
「だそうだぞ、A。」
『諦め早くない?もっとねばろうよ。』
「めんどくさい。」
『報酬もらう立場の人のセリフじゃない。』
「じゃあフェイタン、その本諦めてくれたらAが何でも言う事一つ聞いてくれるって。」
何勝手なことを言ってるんだい、シャルナーク少年。
そんなことでフェイタンが納得するはずが…
「分かたね。」
マジかよ…
いやいや、ドヤじゃないでしょシャルナーク少年。
まあ結果的に諦めてくれたからいいか。
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きなこもち(プロフ) - ダチュラさん» ありがとうございます(*'ω'ノノ゙ (2021年5月28日 6時) (レス) id: 9b397e807b (このIDを非表示/違反報告)
ダチュラ - 初見です!!御伽噺の遠回しな表現が、すごい……!! (2021年5月27日 22時) (レス) id: d99cf3ac4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年4月4日 20時