＊Orange sunshine＊【完結】【D.a】 (ページ10)

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10.下駄ページ10

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裕翔くんは知念くんと真菜と屋台を見て回るからと行ってしまって

思いがけず有岡と２人きりになってしまって１人心はドキドキで

石垣に少し背もたれるようにして小さく深呼吸をした。

有岡「だいじょう…ぶ？」

隣で有岡がちょっとだけ心配そうな顔をしてそう言うけど

そんな事を言われたらますますドキドキしちゃって

どうしていいか分からなくなっちゃう。

A「う…うん、大丈夫。下駄が慣れなくてちょっと疲れちゃっただけ。」

有岡「そか。…つうか、えと…」

またあ～…って頭をガシガシッとかいて俯いたかと思ったら

そのままほんの少し首をくぃっと傾けて

有岡「浴衣、すげぇ似合ってる。」

私を真っ直ぐに見て今まで見たコトもないような真剣な顔をしてそう言ったから

思わず目を逸らして俯いたまま

A「ありがとう…。」

そう言うので精一杯。

これ以上なにか言ったら口から心臓が飛び出しちゃうんじゃないかと思うくらいドキドキして

手に持ってた巾着をきゅっと握りしめてゆっくりゆっくり息を吐き出した。

辺りが薄暗くなって屋台を歩く人並みもどんどん増えて来て

真菜達どうしてるかな…って思ったら

有岡「そろそろ…行く？」

ぽつんと有岡が言う。

２人でいた時間はすごく長い気がしたけどきっとほんの少しの時間で

でも、何も話さなくても有岡が隣にいてくれるだけで嬉しくて

やっぱり有岡が好きだな～ってぼんやりとそんな事ばかりを考えていた。

A「うん、そうだね。」

そう言って歩き出した有岡と一緒にカランと一歩踏み出したら

有岡「河原だし…下駄、歩きづらい？」

そう言って少しだけ振り返ってちょっとだけ遠慮がちに

ん。って手を差し出してくれた。