＊Orange sunshine＊【完結】【D.a】 (ページ17)

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17.波音ページ17

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そんな私を見て

有岡「えっ！な、なんで泣くっ？」

有岡が慌ててそう言うけど一旦零れ出した涙は止まらなくて

涙と一緒に今までガマンしてた気持ちまで溢れ出てしまって

A「有岡が！扇いでくれないから暑いの！」

頭に浮かんで来る言葉をそのまま全部口にした。

有岡「へっ？」

A「有岡が！扇いでくれないし！全然こっち見てくれないし！すぐどっか行っちゃうし！」

自分でも何が言いたいのか、何を言ってるのかもよく分からないし

どうしたいのかも、どうして欲しいのかも分からないけど

有岡「や、ちょっと意味分かんないけど…でも、なんかごめん。」

頭をガシガシッとかきながらあのちょっとだけクセのある声で素直にそう言われると

ぐちゃぐちゃだった心がほんのちょっと落ち着いた気がした。

やっぱりそれからお互い喋らなかったけど電車が駅に着いて降りる時

有岡が何も言わずに私の手をぎゅっと握って歩き出した。

突然の事にびっくりしたけどその手を離すなんて出来っこなくて

そのまま有岡の肩を見ながら半歩後ろを一緒に歩いた。

前にみんなで来た時みたいにもう砂浜は熱くなかったし

波もほんの少し高くなってて人影も疎らだけど

有岡と一緒にいるだけでやっぱりあの時と同じように嬉しくて

繋いだ手にちょっとだけぎゅっと力を入れた。

そしたら有岡がちらりと私を振り返ってまた少し俯き気味に前を向いたと思ったら

有岡「あの…さ。やっぱどう考えても上手く纏まんなくて…上手く言えないからなんかぐちゃぐちゃだけど。でも、聞いて。」

波音に消されてしまいそうな声でそう言った。