角砂糖と観覧車【R.y】

10.なんでいるの？ ページ10

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山田くんのおかげであれからずっと石井さんの機嫌は上々で





金曜日だと言うのに珍しく定時で上がれた。







ロッカーで着替えて目指すのは 会社から少し離れた路地にある馴染みの居酒屋。






大貴と飲みに行く時は決まってここで『大貴の奢りね』なんて話しても





いつも割り勘が２人の決まり事でそんな大貴との距離感は凄く心地いい。





たまにこうして愚痴に付き合ってくれる大貴がいるから





石井さんのイヤミにも凹まなくてすんでるのかも。





今日もいっぱい聞いて貰おう。






そんな事を思いながらお店に入ったら 馴染みの店員さんが





「いらっしゃい。もう来てるよ。」って奥の方を指差したから





A「ありがと！とりあえず生ね！」





そう言いながら小走りにいつもの定位置の奥の席を目指したら…






A「…え？なんで、いるの？」







思わずテーブルの前に立ち止まってしまった。






有岡「その言いよう(笑)」






ビール片手に可笑しそうに笑う大貴の向かいには






多分私と同じくらいびっくりした顔で山田くんが私を見上げてた。







A「や、あの…２人で飲んでるなら私、帰ろうか？」


山田「はっ！？や、帰んないでよAさん！」


有岡「まぁまぁ(笑)山田がまたフラれたんだってさ。付き合ってやってよ(笑)」







慌ててそう言った山田くんとやっぱり可笑しそうに笑う大貴だけど…





またフラれたって…





ふ〜ん、やっぱりそう言う相手がいるって事だよね。




あーあ、うっかり好きとか思わなくてホントよかった。





「お待たせ。」





店員さんが持ってきてくれたビールをヒョイっと受け取って







A「へ〜王子でもフラれる事があるのね。しかも また って！」








山田くんの顔も見ずに大貴の側にどかっと座ってぐびぐびっとビールを流し込んだ。

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