六話 ページ6
Aside
私と、同じ髪色で、真っ赤な瞳で、大柄な男の人。
直感で、すぐに兄だとわかった。
A「……」
「…」
肝心の兄の名前が思い出せず、どうしたらいいかわからない。
こういう時は、私の忘れっぽい性格を恨む。
しばらく互いに見つめあっていると、男の人がゆっくりと口を開いた。
「…この本と、マナ石はお前のものか」
A「!」
こくこくと必死にうなずくとそっと私に石と本を返してくれた。
A「…よかった…」
本と石を受け取って抱きしめる。本当に無事でよかった。
「…」
フィガロ「よかったね、Aちゃん」
A「はい…っ」
フィガロさまも優しく私の頭をなでてくれる。おじいちゃんが生きていた時みたいで、うれしくなってくる。その時、ふとお礼を言わなくてはと思い出し、一度立ち上がった。
痛みを我慢して、顔に出さないようにしながら、静かに言葉を紡いでいく。
A「…私を助けてくださり、有難うございます」
「……」
面食らったように目を見開いて驚いている。
すると、見かねたフィガロさまが
フィガロ「オズ、何か言ってあげたらどうなんだ?」
オズ「……」
フィガロ「だめだこれは。完全に固まってる」
困ったように呆れるフィガロ様の横で、私は必死に兄の顔と名前を覚えようと躍起になっていた。
兄の名前は、オズ。
すぐに頭の中で何回も何回も兄の名前を復唱した。
そして、戸惑うオズさまの顔を見上げ、そして静かにその場で頭を深く下げた。
A「…初めまして、オズさま。
……あなたの妹の、Aと言います。
どうかわたしを、あなたのおそばにおいてください」
154人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
you(プロフ) - 最高です!!!もうめっちゃ大好きです!是非とも今後も更新頑張ってください! (2023年2月6日 17時) (レス) @page22 id: 56a826c2ae (このIDを非表示/違反報告)
abc(プロフ) - ozだぁ〜さん» コメント返信遅れて申し訳ありません!お褒めの言葉有難うございます! (2021年5月2日 18時) (レス) id: 7cb8798e17 (このIDを非表示/違反報告)
ozだぁ〜 - オズ様、、、サイコーだぁぁぁぁぁぁぁあ!!! (2021年5月2日 9時) (レス) id: 23f9dcf647 (このIDを非表示/違反報告)
abc(プロフ) - ミルクティーさん» コメント有難うございます!亀もびっくりな更新速度になってしまうかと思いますが、どうぞ宜しくお願いします! (2021年4月29日 18時) (レス) id: 7cb8798e17 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー - コメント失礼します。この作品とても面白いです^^*更新、無理しない程度に頑張ってください。 (2021年4月29日 18時) (レス) id: 5709ed91f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ