十四話 ページ14
A side
オズ「……来たか」
扉を開けた先には、大きなソファーに座ってこちらを見つめるオズさまの姿があった。その視線は、物静かでありながらどこか優しさを含んでいる。
オズ「………傷はもう大丈夫なのか」
A「は、はい。もうすっかり…」
少し安心して、詰まりながらも答える。オズさまは「そうか」とつぶやくように答えた。
オズ「…≪ヴォクスノク≫」
オズさまが呪文を唱えると、椅子と紅茶のカップが人数分現れて机の上に置かれる。
オズ「……そこに座りなさい」
アーサー「有難うございます、オズ様」
優しい人でしょう、と言いたげにアーサーは私に向けてウインクすると、その椅子に座った。私もそれに倣い、椅子に座る。
賢者さまとフィガロさまも座ったことを確認すると、オズさまは静かに口を開いた。
オズ「…A、と言ったか」
A「は、はいっ」
お守りがわりに持ってきていたおじいちゃんの石を握り締めながら頷く。オズさまに名前を呼んでもらえて嬉しかった私は、思わず口元が緩んでしまった。
オズ「……。…お前が、私の妹なのは間違い無いのか?」
A「…はい」
アーサー「え」
私がうなずいている横で、アーサーさまは驚いたように私を見る。
オズ「……どうしたい」
A「?」
質問されている意図がわからず、首をかしげる。
フィガロさまはぷっと噴きだした。
オズ「…おい、フィガロ」
フィガロ「ごめんごめん。見た目だけが似てるのかと思ったけど性格もよく似てるなあって思ってさ」
オズさまはそんなフィガロさまに呆れたようにため息をついた。
オズ「……お前がここに残るのは別に構わない。賢者の許可さえ取れれば問題ないだろう。…ここの魔法使いたちも、なかなか個性が強いが…その分いろいろな魔法を教えてもらえる。
…だが、もし帰る場所があるなら、お前の居場所はここではない」
A「…」
口調が厳しくなるが、瞳の中にたたえる優しさは消えずに瞬いている。
おそらくこれは私を思って言っているのだろう。
オズさまは私が家出でもしたと思っているのかも知れない。
A「私…もう帰る場所もないんです。
だから…ここにおいてください」
お願いします、とオズさまを含めた賢者さま達に頭を下げた。
オズ「…いいだろう。…これからは仲間だ」
A「!」
私はうれしくなって思わず笑ってしまう。
オズ「ただし、約束をしてほしいことがある」
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you(プロフ) - 最高です!!!もうめっちゃ大好きです!是非とも今後も更新頑張ってください! (2023年2月6日 17時) (レス) @page22 id: 56a826c2ae (このIDを非表示/違反報告)
abc(プロフ) - ozだぁ〜さん» コメント返信遅れて申し訳ありません!お褒めの言葉有難うございます! (2021年5月2日 18時) (レス) id: 7cb8798e17 (このIDを非表示/違反報告)
ozだぁ〜 - オズ様、、、サイコーだぁぁぁぁぁぁぁあ!!! (2021年5月2日 9時) (レス) id: 23f9dcf647 (このIDを非表示/違反報告)
abc(プロフ) - ミルクティーさん» コメント有難うございます!亀もびっくりな更新速度になってしまうかと思いますが、どうぞ宜しくお願いします! (2021年4月29日 18時) (レス) id: 7cb8798e17 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー - コメント失礼します。この作品とても面白いです^^*更新、無理しない程度に頑張ってください。 (2021年4月29日 18時) (レス) id: 5709ed91f3 (このIDを非表示/違反報告)
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