"The truth"

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丈「俺、遠距離とか無理やと思うねん」




ドラマとか漫画みたいに、うまく行くのって僅かやろ？って、私に同意を求める。




じゃあそれって。
私たちがうまくいかない、って言いたいの？




遠回しな丈くんの言い方に、もう相槌を打つことさえもできなかった。




なんでそんな、私が傷つくことばっか言うの？




言いたかったけど、辞めた。
やっぱり嫌われたくない。






丈「やから俺は、なんか約束が欲しい



それを、今言うべきなんかをずっと考えとって………」






「なに？約束って」





照れたように頭をかく。
またあー、とかうーの連発が始まった。





「もう、早く言ってよ」






思いがなかなか伝わらない歯痒さと、
嫌われるのが怖い、っていう気持ちが葛藤する。





ふー、と一回深呼吸をして、丈くんががさがさと鞄をあさった。






丈「俺と、結婚してください」





その言葉と同時に、丈くんの手のひらから、指輪が出てきた。





驚き過ぎて、硬直する。
待って、頭が追い付かない。
約束、ってこういうこと？






開いた口が塞がらない、というのはまさにこのこと。





丈「とりあえず今は、婚約、ということで」





絶対Aを幸せにする、
大学に行っとる間はあんま会えんかもやけど、って。





もう、その言葉だけで充分だよ。
さっきのイライラも不安も、一気にどっか行っちゃった。





私の顔色を伺うように、丈くんが私を見つめる。





「…………………はい、」





ずっと憧れてたプロポーズ。



まさか、こんなところでされるなんて。





私の返事を聞いた丈くんは、




丈「これ、付けてみて」





って、指輪を箱から抜き、私の手を取った。




「ありがとう、丈くん」






丈「なんや、めっさ照れた〜」



薬指にはめられた指輪はサイズぴったりで。
光を反射させて煌めくダイヤがとても綺麗だった。





丈「結婚したら、もっといいの買うな？」




「もう、充分だよ」



今思えば、この時が一番幸せだった。



丈くんと婚約して、遠距離でも不思議と不安はなくて。



丈くんの体が側に居なくても、
心があれば乗り越えられる。
4年なんて直ぐだ、って思ってた。




でも、これがいけなかったんだね。



丈くんは、私意外に大事な人ができたんだ。






あの言葉は嘘じゃない、って信じたいけど。
今となっては、もう何が嘘で何が本当だったのかさえわからない。

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