"The truth"

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、






俺が一番恐れていたこと。
Aに、夏樹の存在がばれること。





どんな理由があるにせよ。夏樹と友達以上の関係になってしまった俺には。





目の前で泣きじゃくるAに声を掛ける資格なんてなくて。








こんなに取り乱すAは初めてやったから、どうしていいかわからないまま、Aの瞳から溢れる涙を見つめていた。








電話は忙しくてできへんかったし、メールも満足に返せへん。






そんな自分が情けなくて。
Aの彼氏でおる権利ないな、って思って。









丈「A、ごめん






別れよ」







こんなこと言っとった。








彼女がふたりも居る、なんていう曖昧な状況のままなのが嫌で。







夏樹との関係にケリをつけたらAを迎えにいく。







そんな謝った選択を、してしまった。








愛しとるのは、Aだけなのに。









案の定、Aの表情が硬直して、大きな瞳で俺を悲しそうに見つめた。







「な、んで………？




私たち、婚約してるんだよね…？」








丈「…………………ごめん、」









俺は、ただのアホや。
大事なことは何ひとつわかってへん。







Aが少しの間でも、ひとりなのがどれだけ辛いか。






そんなこともわかってやれん、アホなんや。









ごめんな、A






「丈くん、やだ、嫌だよ、」









『丈くん』って呼ぶAの声だけが、頭の中を支配した。








丈「ごめん、」







Aのこと、真剣に考えとったから。
婚約のことやって、結婚のことやって。
だからこそ、このままじゃアカン、って思ったんや。

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