いいんですか？ Ren.N (ページ8)

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『はぁ… 』

ため息つくのこれで何度目やろ …。仕事中も無意識にため息漏れてて、先輩に “疲れてんじゃない？”なんて言われてもうたし。

シャワーを浴びながらそんなことを考える。
帰宅してシャワーへ直行、いつものルーティンワーク。

いつもならどんな重労働をこなしても、これで少しは身も心も綺麗サッパリ、スッキリするはずなのに。

頭にこびりついて離れないのは、今朝閉鎖病棟から移ってきた女性患者のこと。
今日から俺が担当を任された、可愛いらしい顔立ちのAさん。

『嫌われてもうたかなあ …。』

あの子、全然目合わせてくれへんし、やっと目が合ったと思ったら逃げ出してまうし。
何でやろ。何かしたかな。
同い年やから仲良くなろ思って、馴れ馴れしくしたのがアカンかったんか？

“ 担当ナース変えてください ”

昼間言われた言葉。1日目からあれは結構ショックやったなあ。今までそんなこと言われたことなかったし。中高生なら、尻尾振って喜んでくれるんやけどなあ。

いくら嫌われても仕事は仕事。あと少しであの病院を去る身やし、気にしなけりゃいいっちゃいいんやけど。でも、好かれるに越したことないしなあ。立つ鳥跡を濁さず。どうせなら有終の美を飾りたいんや！

“ 強迫性障害、醜形恐怖症 ”

シャワーを止め、Aさんのカルテに書かれた重苦しい文字を、ふと思い出す。

強迫性障害は、何度も何度も手を洗ったり、無意味だとわかっているのにその行為を止められない病気。

醜形恐怖症は、自分の外見が醜いと思い込んでしまう病気やなあ。

フラッシュバック起こして、過呼吸になってたし、何か過去にあったんやなあ、って感じ。

化粧っ気がなくても華のある青白い顔。馬鹿正直なくらい真っ直ぐで真面目な性格。そんな彼女を苦しめてるのは一体何なんやろ。