いいんですか？ Ren.N (ページ6)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:29,587 hit

6 ページ6

一人で心臓の心配をしていると、隣からツンツンと肩を突かれる。なんだか見た目に似合わずいちいち子供っぽいな、この人。

『なあなあ、しれっとそこ座っとるけど、
これ、Aさんのベッドちゃうから。』

「ここ空いてますよね。
なら、ここで良くないですか？」

『窓に面してると、また飛び降りようとするやろ？
油断も隙もないからムリや。』

絶対そう言われると思った。初めから期待してなかったけど。

「あの、外見てただけなんですけど。」

『そういう苦し紛れの言い訳せんでええから。
早く！着いて来い！』

え、全く信じてくれないんですけど。
永瀬さんに対し完全に諦めモードに突入。
仕方がないから、ぶすくれた顔で永瀬さんの後ろに着いて歩くこと５歩。隣のベッドに到着。

『とりあえず、そこ座っといてな。
あ、頭のそれ貸してみ。そろそろ氷取り替えないとあれやろ。』

視界の上の方から永瀬さんの手が私の頭に伸びてくる。
氷嚢を取ろうとしているだけ。ただそれだけ。
頭ではきちんと理解しているのに。

条件反射のように、頭を抱えて身を縮める。脳はまだ麻痺していたんだ。“ 殴られる ” 瞬時にそう思った。あの時のように。

．

目の前の看護師が別の人間に重なる。

罵倒する低い声。振り下ろされる拳。頭に走る鈍痛。目の前が白くボヤける。息ができない。酸素が薄くなり、意識が朦朧とする。押し寄せる恐怖と絶望。

怖い。痛い。苦しい。助けて。
誰か、助けて＿＿＿＿＿