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淡い水色の封筒を重ねて、輪ゴムで束ねる。
厚みのあるそれを、パジャマや下着、生活必需品の詰まったボストンバッグにそっとしまう。
永瀬さんからの手紙は私の宝物。
あれから永瀬さんは本当にいなくなってしまった。
大阪に戻ってしまうのも、またいつもの冗談だろうと 半分はそう思っていたから、予想以上に落ち込んでしまった。
真っ白な病室、味の薄い病院食、代わり映えのない毎日。私の毎日はいつの間にか 簡素で 殺風景なものに戻っていた。
聞き慣れない関西弁、鼻につく冗談、私の名前を呼ぶ高い声、そのどれもが愛おしく感じる。
毎日が楽しかったのは永瀬さんがいたから。
苦しいことも乗り越えられたのは永瀬さんが支えてくれたから。
私の生活に彩りを与えてくれていたのは他でもない彼だった。
そんな簡単なことに今更気づいた。もう遅いのに。
もう桜の花びらが舞う季節になった。長い長い冬が終わった。私の病気も。
「 Aちゃん、退院おめでとう！」
今日で私もこの病院を去る。永瀬さんに先を越されてしまったけれど、やっとここから出られる。
花束を抱えてお見送りしてくれるのは、昼夜逆転期にお世話になった看護師さん。
本当は永瀬さんにもお見送りしてほしかったなあ。
「 ありがとうございます。たくさん迷惑かけてごめんなさい。」
「 いいのよ、気にしないで。元気に退院してくれるだけで嬉しいんだから！」
ほんとに優しい人だなあ。笑顔が素敵で真っ直ぐな 向日葵のような人。
「あ、これ大阪からここに届いたみたいよ。永瀬さんもいたらよかったのにね！」
差し出された封筒。淡いブルー、真っ白な雲のデザイン。やっぱり不格好な文字。
大阪から？
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作者名：白 | 作成日時：2019年4月20日 12時
