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『 あ、やっと起きた。』
永瀬さんはインフルエンザから無事復帰した。
朝、永瀬さんの並外れた顔面の美しさに驚いて眠気を吹き飛ばす、そんな日常が戻ってくる。
『 そうや。今日から薬増えるみたいやわ。副作用で眠くなるやつやから、ますます起きられんくなって また 朝ごはん食べれんくなるかもな。』
嫌だなあ。また楽しみがなくなる…。
パン食べたいなあ。
『 そんな悲しそうな顔すんなって。今度はホカホカの唐揚げ買ってきてやるわ。』
「 え、ほんとに!?」
朝ごはんのパンが食べられなくなっても、断然そっちの方が嬉しい!
しまった。テンションが上がってしまった。恥ずかしい。また、食い意地張ってると思われるなあ。
『 Aはやっぱり笑ってる方がええな。最近ずっと暗い顔しとったから不安やったんやけど。よかったわ。』
笑みを浮かべた永瀬さんと目が合った。
以前なら逃げ出していたけど、今ではさほど気にならなくなった。
倒れたとき助けてくれたのが永瀬さんだったから、負い目を感じているのかも。
『 この前、なんで倒れたのか知らんし、無理に聞き出してしんどくさせてまうのも嫌やから、聞かんけど、しんどくなったらいつでも言ってな?』
「 分かりました。ありがとうございます。」
『 俺がいない時は紙にでも書いて置いといて。でも、まあ、また笑えんくなっても、絶対俺が笑わせたるから大丈夫やけどな。』
今日もひとりで笑っている。永瀬さんの、根拠の無い “ 大丈夫 ” が、心強かった。
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作者名:白 | 作成日時:2019年4月20日 12時