148: 胸騒ぎ【Shoサイド】 ページ48
タッチしてみると……ニノからメールが来ていた。
『起きたかな？大丈夫？』
フッ……いつもメールなんかしないくせに。
何だか歯痒くて微笑んでしまった。
『おはよ。』
そう言って返事を返すと、すぐに返事が返って来た。
『昨日、話の途中で突然倒れこんで寝ちゃったから心配したよ。』
話の途中で寝た？
そうなの？
ははっ……どーりで喫茶店での記憶が途切れてるわけだ。
心配かけすぎたかな？
『ごめん…心配かけて。ぐっすり寝たから、元気だよ。だから安心して。』
『りょーかぃ。無理しすぎないようにね。』
“ 無理しすぎないように ” ……か。
ごめん…ニノ………
そうもいかないんだよ。
皆は気づいてないかもしれないけど。
最近、本体の “ 美空の身体 ” の体温が少しずつ下がってきている。
極々わずかな変化だけど。
たまに上がったりするが……
おかしい。俺には分かるんだ。
とはいえ、勘というレベルにすぎないものだが。
……………何だか胸騒ぎするんだ。
研究員が毎日、身体のデータを報告してくる。
それを見るたび、不安が押し寄せるんだ。
“ 彼女達のなかで何か起きてるんじゃないか ”
って………
美空とAは、ひとつの身体で繋がっている。
どちらかに変化あれば、もう一つの身体も連動する。
だから……… “ 彼女達には時間がない ”
うかうか寝てる暇はないんだよ。
何か起きる前に、解決策を見つけないと。
俺はベットから立ち上がり、
急いで着替えて研究室に出掛ける準備をした。
ベットの下に手を入れ、靴を探り寄せる。
フッ……置いてくれたのは、きっと日下部(かさかべ)さんだな。
日下部さんは、俺の唯一信頼できる執事さん。
昨日連れて帰ってくれたのも、きっと日下部さんだろう。
家のものに見つかると厄介な為、外縁から出よう。いつもの日課である。
俺は日下部さんに電話した。
翔「よろしく頼む。」
日下部さんと父さんだけは俺の味方で。
特に日下部さんは俺の手助けをしてくれる。育ての母親に見つからないよう、色々手配をしてくれている。
父さんに話しづらい事も相談したりしていて、とても信頼している。
ここの家族より “ 家族 ” なのかもしれない。
美空と母さんの様子を見に行くとき、連れていってくれたのも日下部さんだった。父さんの許可つきでね。
養子に来て間もない頃、日下部さんの膝で、よく泣いてたなぁ……
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作者名：さくらもち | 作成日時：2017年7月12日 17時
