12時 ページ7
__深夜11時。
いつもは暗く静かな万事屋だが、この日は違った。
「なんで急に帰ることになったアルか?」
「学校の出校日あったの思い出して!」
「ふーん、すぐ帰ってくるよネ?」
「も、もちろん!」
神威に会ったということは、神楽ちゃんにも新八くんにも伏せて置こうと銀さんと決めた。
二人を心配させたくない、というのも理由の一つではあるが、やっぱり神威の話題となると神楽ちゃんが心配だった。
よって、しどろもどろと適当な嘘をついた。
「気を付けて帰れよ」
銀さんの大きな手のひらが頭の上に乗る。
「ありがとう」
寂しさを悟られないように、笑みを作ると銀さんも穏やかに笑った。
その笑顔が寂しさを引き立てる。
別に、会えなくなるわけではないのに、不思議なものだ。
時計が12時ぴったりをさしたころ、私はテレビに向き直ってテレビが付くのを待った。
――――しかし、
「・・あれ?」
確かに時計は12時をさしているのに、私がここに来たときのように、勝手にテレビが付くことはなかったのだ。
銀さんも首を傾げる。
「調子悪ィのか?」
ゴンゴンと力技で叩いてみるも、テレビがつくことはなく、
終いには、神楽ちゃんが手動でテレビの電源をつけようと電源ボタンを押しては見たものの、テレビは電気がつくこともなく、うんともすんとも言わない。
背中に冷や汗が伝うのがわかる。
まさか、このタイミングで――・・
「そーいえば、この前から調子悪かったけど、ついに壊れちゃったアルか?」
そんな神楽ちゃんの言葉に、サーッと血の気が引いていくのがわかった。
「おいおい、冗談じゃねェぞ」
銀さんが力強くテレビの淵を叩いた時、そのテレビは一瞬バチバチッと音を立て、部屋の中は一瞬フラッシュをたかれたようなまぶしい光に包まれたかと思うと、
「――うそ、でしょ」
テレビのコンセントは焦げ、いよいよ使い物にならなくなってしまった。
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微糖。 - 面白いです。続き待ってます。 (2020年5月31日 20時) (レス) id: 7154107f34 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 今までで1番好きな物語です!更新楽しみにしています。 (2020年3月29日 11時) (レス) id: cd8046c6bb (このIDを非表示/違反報告)
神阿(プロフ) - ソマリさん» ありがとうございます。これからもよろしくお願いします (2020年2月16日 22時) (レス) id: 9618de47fb (このIDを非表示/違反報告)
神阿(プロフ) - 淋さん» ありがとうございます。楽しんでいただけているようでうれしいです (2020年2月16日 22時) (レス) id: 9618de47fb (このIDを非表示/違反報告)
神阿(プロフ) - モンスターエナジー愛好家さん» 更新長らくお待たせしました。ありがとうございます (2020年2月16日 22時) (レス) id: 9618de47fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神阿 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kamiamatome/
作成日時:2017年11月23日 21時