twc1 ページ1
もうすぐ4月になろうとしている今日この頃。
珍しく外にいる俺は、ある人と買い物に来ていた。…いや連れ出されてきたの間違いやな。
｢とわぽん、これ可愛いよね｣
そう言いながら俺の事を見てくる。
いや正直その今持ってるものより、そうやって聞いてくるAさんの方が可愛いと思うんですけど。
って言うのはさすがにこの場では言われへんから、
｢そうですねぇ、こっちも似合うと思いますけど｣
とだけ言っておく。
いやだって流石に言われへんでしょ。そんなこと言える世の中の男子なんて居る？いや居るんやろうけど、さすがに俺みたいな感じの奴らでは無理やて。
｢あ、本当だ。そっちも可愛いね｣
なんて言いつつ物を見て回るAさんを横目に、チラッと自分も何かいい物がないか探してみる。
…あ、へぇ この服楽そう。部屋居る時ええなこれ。いやちょっと待ち、部屋着の割に案外するやないか。これはあかんわ、やめとこ。
そう思いながら再度Aさんの方に目をやると、ある程度決まったのかこっちに近づいてきている。
｢ちょっとレジしてくるね｣
｢分かりました、じゃあ俺はそこ出たとこで待ってますね｣
｢分かった！｣
Aさんの会計を待ちつつ外を見てみると、何となく外が暗くなってきている。まぁ3月末とはいえ18時を過ぎると暗なるわな。
｢お待たせとわぽん｣
｢ん、あぁ 全然いいですよ。良いもん買えました？｣
｢うん、ばっちり！ありがとうね｣
｢いえ、じゃあそろそろ帰りましょうか｣
そういえば今こうして遊びに来てるけど、付き合ってるわけじゃないんよね。ただ俺が一方的に好きなだけであって、Aさんは分からん。
だけどこうやって定期的に遊んでくれるから、まぁ当分はこれでもいいかなと思ってしまってる節もある。
何だかんだしてたらもうAさんの家の前に着いてて、俺は持ってた荷物を渡す。
するとAさんが一つの紙袋を俺に渡してきた。
何が何だか理解出来ず首を傾げているとAさんは言った。
｢…これ、今日のお礼ね。何となくとわぽん好きそうだなと思って｣
って言いながら何となく顔が赤くなってるように見えたのは俺の気のせいか。
紙袋の中を見るとさっき自分が見てたあの部屋着で。見てたの気付かれてたのか…？いやでもあれは一瞬だったはず。
｢え、あ…ありがとうございます。よう分かりましたね｣
｢うん、まぁちょっとね｣
そう言ったAさんは小さく笑った。
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作者名：柚稀 | 作成日時：2022年4月6日 0時
