GAME (ページ29)

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倒れてる男性に近づくごとに、刺激的なツンとした匂いがして来る

身体を壁に向け、此方に背中を向けている男性を桐山さんは仰向けに優しく倒した

「…間に合わなかった」

腹部を真っ赤に染めた男性を目の前に、桐山さんは小さい声でポツリと呟いた

今私達の前に倒れてる人は、掲示板に写真を載せられていた中間さんだ

「もう冷たくもなってる、数時間前に殺られたんだろうな…」

「…もうすぐ他の警察が来て、医者も中間さんの容態を確認の為に来るって連絡来た」

「おん、ありがと濵ちゃん」

中間さんを見ると、顔を歪ませながら目をつぶっていた

きっと壁側向いていたのも、衰弱した彼なりの最後の抵抗だったのだろう

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「…ただいま」

「A、！」

現場を後にしてから、私達は事件の資料作りなどをし、家に着いたのは夕方だった

2日間まともに寝ていないことと、中間さんの救出が出来なかった悔しさから、心身ボロボロだった

「…の、んちゃん」

帰って来て、数メートル先に居るのんちゃんを見て色んな感情が混ざって涙が零れてしまう

「俺はAが頑張ってたことは知ってるから」

「…あり、がとう」

今まで様々な事件を担当してきたけど、こんなに悔しい思いをするのは始めてだった

きっと数時間早く着いていれば間に合ったのかもしれない、そのことがずっと頭の中を巡っていた

「…うっ、」

強く抱きしめられ、のんちゃんの胸の中に収まった自分は安心して涙が溢れて来た

「のんちゃん、ありがとう」