不思議なあの子はかまぼこ隊の一員です

5話 ページ6

A｢あ…………｣



まるで時間が止まったみたい…何も聞こえなかった

力が抜けて、ズルズルと地面へへたり込む




冨岡｢俺が来た時にはもう亡くなっていた。遅くなってすまない｣

A｢…これは、冨岡さんがやったんですか｣

冨岡｢…………鬼だ｣

A｢…………なら、謝らないで下さい。助けようとしてくれたんですよね、ありがとうございます｣






嫌だと思っていたことが現実に起こってしまった

3年間自分を育ててくれた人

その人たちが、今ではもう人間だった"もの"に変わってしまった

悲しい

悲しいはずなのに…………







涙がでなかった







悲しい、寂しい、という気持ちより膨らんだ感情は、"怒り"だった

冨岡さんに、手を握られるまで自分がどれほどの力で握っているのか分からなかった







冨岡｢……｣

A｢……あの、どうすればいいですか｣

冨岡｢………………？｣

A｢その、鬼。私が殺します｣






自分でも怖いくらい冷静だった

普通は涙が出るはずなのに、育ててくれた人達が死んでも涙が出ない私は、

おかしいのかな…………

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