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「Aさん、Aさん？」
毛布の上からたふたふと優しく肩を叩かれる。
粉砂糖のように甘く優しい声音に意識が浮上し、薄ら目を開ければ亜麻色の髪を揺らす恋人がクスクスと微笑んだ。
「おはよう、Aさん。起きる時間やで」
「んん、はよ……」
「ほら、朝ごはん出来とるから。」
くしゃりと頭を撫でられ、あぁ最高の目覚めだなぁともったり体を起こす。
目をこすり、香ばしいパンの香りの横を抜けて洗面所。
軽く身支度を整えてコーヒーを注ぐエーミールに「ありがとう」と告げれば彼はまた優しく微笑んだ。
「今日の帰りは遅くなります？」
「いや、多分いつも通りだよ。エミさんは？」
「俺もいつも通り。ほんなら、今日の夕飯は食べに行かん？」
少し珍しい申し出に、齧ったパンの欠片がテーブルに散ってしまう。
「いいよ、珍しいね」
「美味しいお店を見つけたんよ。是非一緒に行きたくて」
指に付いたバターを舐めとりながら、特に何の記念日でもなかったはずだとAが思考を巡らせながら相槌を打つ。
カレンダーを視界に入れようと首をひねって、ついでに目に飛び込んできた時計の長針の位置にガタリと椅子から立ち上がった。
「やばい、もうこんな時間だ！エミさんごめんね俺もう出なきゃ」
「あぁ分かりました」
「ゴミは出していく、また昼休みにディナーの件の詳細聞くね」
「はい。気をつけていってらっしゃ、」
ばたばたと騒々しく玄関へ向かうAの後を追い見送ろうと近付いたエーミールは次の瞬間引き寄せられ唇に触れた柔らかい感触に凍りつく。
「ん。いってきまーす」
いたずらっ子のように花開く笑顔を浮かべたAはごみ袋と仕事鞄を翻して呆気なく家から飛び出して行ってしまった。
「……。」
後に残されたエーミールは、壁に肩を預け熱を持つ唇に指を添えて呟く。
「新婚さん、みたいやな……。」
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#大遅刻良い夫婦の日
Chrome Sphene ：zm*→←Inverted qualia２：gr*
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うぃりあむ(プロフ) - シャム猫さん» シャム猫様、コメントありがとうございます！niさんは登場頻度が少なく中々創作も難しいですものね。かく言う私もキャラの掴みが自信なく不安ではありますが、今後も視野にいれて執筆していきたいと思います！ (2019年11月8日 15時) (
レス) id: 6010886135 (このIDを非表示/違反報告)
シャム猫(プロフ) - コメント失礼します。兄さんが出てきた事が嬉しいです(*^^*)もっと兄さんを出して欲しいなぁ|ω･)初対面なのにすみません(´；ω；｀) (2019年11月6日 23時) (レス) id: 0e68210922 (このIDを非表示/違反報告)
うぃりあむ(プロフ) - 神音さん» 神音様、コメありがとうございます！詐欺師さんとても可愛らしい顔で寝ていて居ても立ってもいられず書きました…！少し前の短編集に掲載したお話ですね、気に入って頂けてとても嬉しいです！是非今後も宜しくお願いします＊ (2019年9月25日 23時) (レス) id: 9df46c5a4d (このIDを非表示/違反報告)
うぃりあむ(プロフ) - 暖炉さん» 暖炉様、改めてリクエストありがとうございました！私としても最推しコンビなので完成まで時間がかかってしまい申し訳なかったです…楽しんで頂けたなら幸いです！是非今後もリクやコメなど仲良くして頂けると嬉しいです〜：） (2019年9月25日 23時) (レス) id: 9df46c5a4d (このIDを非表示/違反報告)
神音(プロフ) - チーノくんのやつこの前のしょーてんネタじゃないですか！！どれだったか分からないですけどtn人狼夢主狂人(両片思い)の話が好きでした！ (2019年9月25日 18時) (レス) id: 7f79e913ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うぃりあむ | 作成日時：2019年8月21日 1時
