Inverted qualia２：gr* ページ37
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提供した茶器と色違いのカップを両手で包み込みながらAはグルッペンの向かいへ椅子を向け腰を据える。
ようやくちゃんと向き直ったAの瞳は穏やかな出で立ちとは裏腹に情熱的な光彩を反射してグルッペンを射抜いた。
「逆転……聴き慣れない言葉だ」
「そうかもしれません。俺が見ている空の青色と総統の見ている青色が果たして同じ”青色”という色なのか、といった問いなどの心の哲学をそう呼びます。」
ふむ、とグルッペンは程よく冷めた紅茶を一口啜ってAに倣って考えてみた。
他者の見る青が自身にとっては赤という色だったら。
……考えど打開策も見当たらなければ、だからどうしたと思ってしまい眉間にシワがよる。
「ふっ」
この考えはグルッペンに合わなかったのだと瞬時に察したAは小さく吹き出し、その珍しい笑顔を正面から食らったグルッペンはつられてゆるりと口角を持ち上げた。
「お前のように四六時中堂々巡りの問いを繰り広げているといつかおかしくなりそうだな」
「人は誰しも狂人だ。あなたもそうだろう、グルッペン・フューラー。」
「っは、分かりきった事を。」
まるでオーガンジーを挟んで背中合わせに佇むような理解の齟齬が、グルッペンにとっては心地よく興味深く、そして愛おしい。
紅茶の最後の一口を喉の奥へと流し込みふちを親指の腹でそっとなぞれば、それを見たAは空いたそのカップを手ごと包み込むように受け取り立ち上がった。
不意打ちの接触に、触れた指先に熱が移る。
「俺の夜は長い。更けた泥濘は未だ及ばず、ですよ。」
以前に訪れた時、Aは夕暮れが宵に沈む時間を示し呟いてグルッペンへ退室を促した。
今度は夜更けか。
なるほど、手ごたえはなくとも緩やかに事は進んでいるらしい。
「それならば俺は、お前の夜が明け、お前の瞳を通して見た色と同じ碧空に至るまでこの扉の前で木目をなぞろう。」
音も無く立ち上がったグルッペンはそれだけ告げると惜しむ様子も無く家を後にする。
インクの匂いに沈んだ部屋で、白熱球とAの瞳だけが静かに揺れた。
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1122 ：em→←Inverted qualia ：gr*
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うぃりあむ(プロフ) - シャム猫さん» シャム猫様、コメントありがとうございます！niさんは登場頻度が少なく中々創作も難しいですものね。かく言う私もキャラの掴みが自信なく不安ではありますが、今後も視野にいれて執筆していきたいと思います！ (2019年11月8日 15時) (
レス) id: 6010886135 (このIDを非表示/違反報告)
シャム猫(プロフ) - コメント失礼します。兄さんが出てきた事が嬉しいです(*^^*)もっと兄さんを出して欲しいなぁ|ω･)初対面なのにすみません(´；ω；｀) (2019年11月6日 23時) (レス) id: 0e68210922 (このIDを非表示/違反報告)
うぃりあむ(プロフ) - 神音さん» 神音様、コメありがとうございます！詐欺師さんとても可愛らしい顔で寝ていて居ても立ってもいられず書きました…！少し前の短編集に掲載したお話ですね、気に入って頂けてとても嬉しいです！是非今後も宜しくお願いします＊ (2019年9月25日 23時) (レス) id: 9df46c5a4d (このIDを非表示/違反報告)
うぃりあむ(プロフ) - 暖炉さん» 暖炉様、改めてリクエストありがとうございました！私としても最推しコンビなので完成まで時間がかかってしまい申し訳なかったです…楽しんで頂けたなら幸いです！是非今後もリクやコメなど仲良くして頂けると嬉しいです〜：） (2019年9月25日 23時) (レス) id: 9df46c5a4d (このIDを非表示/違反報告)
神音(プロフ) - チーノくんのやつこの前のしょーてんネタじゃないですか！！どれだったか分からないですけどtn人狼夢主狂人(両片思い)の話が好きでした！ (2019年9月25日 18時) (レス) id: 7f79e913ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うぃりあむ | 作成日時：2019年8月21日 1時
