天使(仮)の人生は平穏無事とはいかない。結【オリオンの刻印】 (ページ5)

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√39、モヤモヤページ5

窓の外に目をやると、日も傾き始めていた。そろそろお開きの時間となる。
とは言っても、今日はみんなで宿泊地に向かうだけだ。
そして明日、各自飛行機で帰ることになっている。

不思議と名残惜しさがないのは、こんな風にいつでも会えると、私達みんな分かっているからだ。

今はバスが迎えに来る時間まで、みんなで会場の後片付けをしている。

使った後の食器を重ね、調理場で洗い物を手伝っている杏奈とつくし先輩の元へ運ぶ。

「大盛り上がりだったね！」

「本当に、楽しかったです。お料理もどれも美味しくて……」

調理場の中から水音と共に二人の声が聞こえてきた。中にいるのは二人だけのようだ。

「野坂くんにあんな顔させちゃうAって凄い子だなって、改めて思って……」

何やら杏奈が私のことを褒めている。
照れ臭くて入るに入れなくなった。

「杏奈ちゃんは、このままでいいの？」

「え？」

「好きなんでしょ？野坂くんのこと」

(……え？)

頭の中が真っ白になった。

「わ、私がいつそんなこと言いました……？」

「バレバレだよー。といっても、私と秋ちゃんくらいだろうけど……」

杏奈は否定していたようだが、その上ずった声からして真相が窺い知れる。

人の会話を盗み聞くなんていけないことだ。
なのに、足が動かない。

……杏奈が、野坂くんを……好き？

いつから……？

もしかしてずっと……？

気づけなかった。杏奈に好きな人がいたなんて。

親友の恋なら応援しなければいけないのに。

そうとは知らず、私ばっかり杏奈に恋の相談に乗ってもらっていたということだ。

だからこそ、これからは私の番だ。
杏奈を応援しなきゃ。

なのに……

私、何でこんなにモヤモヤしてるんだろう。