天使(仮)の人生は平穏無事とはいかない。結【オリオンの刻印】 (ページ3)

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√37、盛り上げるページ3

ステージから戻ってくると、途端にAの周りに人だかりができた。

「Aにこんな特技があったなんてな！」

「すごいよA！」

まだまだ興奮冷めやらぬといった感じで声をかけられる。

「えへへへ、それほどでもー」

Aもまた頭の後ろに手をやり、満更でもなさそうに笑う。

少し緊張したが、みんながノッてくれたから安心して披露することができたのだ。

「まあ奇跡の天使たるもの、宴の場を盛り上げるくらい朝飯前ですけどね」

「さすがAちゃん！」

「あんま煽てるのはやめとけ」

「私は褒められて伸びるタイプなのでもっと褒めてくれた方が嬉しいのだけれど」

「褒められると調子乗るタイプだろお前は」

そんないつものような口論を繰り広げていると、あちこちから笑い声が聞こえてきた。

「いつのまにあんなの企画してたの？」

と杏奈。

「うん。監督と子文くんも一緒に」

実は野坂からパーティー開催の連絡が来た直後くらいに、監督や子文に溢していたのだ。

『皆さんオリオン財団のことで色々ありましたから。打ち上げくらいは、何ごとも忘れてパーっとできる時間があってもいいと思うんですよね』

『いい考えですね、で、具体的には？』

『それはまだ考え中で…』

『その時間は、Aさん。貴女が設けるのですよ』

『私が』

『貴女しかいないでしょう。皆さんを癒し、楽しませられるのは』

『一番、真剣に皆さんに楽しんで欲しいなんて思っているのも、Aさんでしょうからね』

『でも、私に何ができるのか…。どうせなら、パーッと派手なことしたいんですけど』

『それならマジックなんてどうでしょう。盛り上がりますよー』

『おお、いいかも！』

そのやりとりの後、いくつもの芸を叩き込まれた。
中国に古くから伝わる伝統芸というものも含めて、マジックから曲芸まで、みんなを楽しませられるようなものを、いくつも。

パーティーまで時間がなかったので、ビシバシ扱かれて大変だった。

けどまあ、頑張った甲斐あって、会場は更に盛り上がりを増したと思う。

今日は本来の目的である「少しでも場を盛り上げる」まで達成できた。

ここに来て本当に良かった。