【学パロ】一目惚れと言う名の恋２【中原中也】

#61 ページ16

昔から母親は───いや、ママはとっても怖かった。

私が｢ママ｣って呼ぶと絶対｢何でママって呼ぶの。｣ってすぐに怒るし、なんなら｢私のことをお母さんとも呼ばないで｣って言うから、私はママの前では名前を呼ばないことにした。

そして気付けば私には父親がいて、その人は会社の社長でありながら、大変なことをした。

父親が全会社員の給料を横領していたことを知ったママは、｢私はあの人に裏切られた。｣ってよくリビングのソファに座って泣きながら言っていたのを聞いていたし、本来ならママの隣に座って一緒にいてあげるのが“本当の親子”なんだろうけど、私はそれができなかった。

─だって、ママは私のことが嫌いだから。

私のことが目障りだから。

校長に、“愛娘のために”とか言っているのも全部真っ当な嘘。

嘘、嘘、嘘。

私、何で今まで気付かなかったのかな。

本当は、私も、ママのことを────

嫌いだってことを。

#62→←#60

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す